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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第20章 我儘と憂いのアメジスト R18


「領地を守り、子を成せばいい・・・それだけが私の未来だと思っていた昔から考えれば、今の幸せを守る為にどんな事でもやれそうな気がする。」

そんな悲しい未来を考えていたなんて・・・。

「まだまだですよ?」
「まだまだとは?」
「幸せは今がピークではありません。これからもっと、幸せは増えていきます。」
「そうだな。」

抱き合ってお互いの温もりを感じていると、ドアをノックする音が聞こえて慌てて私は腕を離した。シェラザード様は、ケロッとした顔で私から離れなかったけれど。

「シェラザード様、お食事の時間でございます。」

メイドさんの声に、直ぐに行くと返事したシェラザード様。でも、離してくれない。

「あの、シェラザード様?」
「アメリアは、私より食事を選ぶのか?」
「えっ?決して、そんな事は・・・。」
「冗談だ。さて、行くか。アメリアとの時間はまだこれからだからな。」

何だろう?まだこれからって。


今晩のアシュリー家の晩餐は、とびきりのご馳走だった。どうやら、色々と公爵様が奮発してくれたみたいだ。

そして、夫婦仲良くワインを飲みながら、付き出しのような塩茹でしたであろう豆を食べているのは見て見ぬふりをしておいた。

それでも、今日は公爵家の料理人としての本気を見せて貰った気がする。

「シェラザード様、そろそろ私も領地に戻った方がいいですよね?七日後には、王都に戻らなければなりませんし。」

随分、居候させて貰ったけれど、そろそろ帰り支度も必要だと思う。

「王都には、シェラザードと共に帰ればいいよ。直ぐだし。サザライト家には、その様に私から伝えておこう。荷物の方も心配ないだろう。」
「公爵様に、そんなご迷惑は・・・。」

それでも、笑顔でゴリ押しされて私は反論するのを諦めた。

確かに、馬車なら3日は掛かる。魔法なら即日だ。でも、気になったのでシェラザード様と部屋に戻った時に聞いてみた。

「魔法で帰るのは、多大に魔力を使いませんか?」
「ん?魔力?嫌、問題ない。流石に、一日に5回以上は疲れるが。」

聞いておいてよかった。5回以内なら大丈夫なのね。で、シェラザード様・・・また、抱擁ですか。

なら、私も折角なので甘えておきます。ついでに、スリスリもしておきましょう。
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