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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第20章 我儘と憂いのアメジスト R18


シェラザード様の話しはこうだった。


とある同盟国と、婚姻を結んでお互いの絆を強固にしようと考えられた。白羽の矢が立ったのは、王子と同盟国の王女だった。しかし、留学の為に一緒に同盟国にいたシェラザード様を王女が見初めてしまった。
王女は甘やかされて育てられていた為、王女の言い分が通される事になった。そこまでならよくある話しだったのだが、暫くして王女の我儘が出た。
アシュリー公爵家に輿入れと決まっていたのだが、それを反故にし逆に婿入りを望まれた。アシュリー家の正当な後継者は一人。当然、その申し出を突っぱねた。
しかし、王女はその事に腹を立て、王女の学友たちをけし掛けてシェラザード様に虐めを行うことになった。それでもシェラザード様は、何もしなかった。
その虐めから数ヶ月過ぎた頃、王女はシェラザード様との婚約を一方的に破棄しては直ぐに学友の一人と婚約した。同盟が無くなることはなかったが、お互いに遺恨が残る出来事となった。


シェラザード様が、一通の書簡を私に差し出した。封通には、王家からの印があった。

「読んでくれ。」

私はそれを受け取って、目を通した。この書簡の送り主は、兄王子からだった。

書簡の内容は、その王女が留学としてこの国に来ると言うものだった。同盟国では、相変わらず王女の我儘に振り回されているらしい。

ただの留学ならば、断わることも出来ずに受け入れることになったようだ。そして、王女と共に留学して来るのが、王女の婚約者。上手く王女に取り入り、婚約者の地位を得た人。

そして、最後に兄王子はこう書いてあった。

【二度と、シェラを他国に渡さない】

「シェラザード様は、王女様にお気持ちは傾けられていらっしゃったのですか?」
「無い。だだ、貴族としての義務は、果たさなければという思いだけだ。」

王女と言うことは、とんでもなく美人なのだろうか?もし、また気が変わったらどうするんだろう?

「シェラザード様の婚約は、この国で知られておりませんでしたよね?」
「同盟国とはいえ、離れた土地だ。それに、父上が認めてなかった。王族同士からのゴリ押しみたいなものだったからな。父上は、使えない者を嫌う。あの王女は、ただのお飾りが関の山だ。」

何か、公爵様らしいというか・・・。勝手に、王族同士で決めてしまったってこと?

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