第19章 デートと嫉妬
「アメリアに危害を加えようとしたら、腕一本くらいは吹っ飛ぶことになるだろうが、やはり他の男に触らせるのは嫌だ。」
「えっ?どうして吹っ飛ぶのですか?」
「その指輪は、魔道具で作らせた婚約指輪だ。物理的なダメージは受け付けない。」
ひえ~っ!!!こんな大きなアメジストの石が付いてて、更に魔道具だなんて。私、明日、死ぬんじゃ?贅沢病で死ぬんじゃ?
「あの兵士さんたち、突然で驚きませんか?」
「あぁ、いつものことだ。」
きっと、いつも驚かされていると思うけど。でも・・・シェラザード様は、躊躇なく人を斬れるんだ。
前世では考えられないけど、この世界では普通なんだよね。死が背中合わせだから。少しは慣れたつもりだったけど、やっぱり怖い。
「すまないな、偶然とは言え、怖い思いをさせた。」
「いえ、大丈夫です。」
「手が震えている。続きはまた今度にしよう。屋敷に戻る。父上に報告をしなければならないからな。」
確かに、怖い。でも、シェラザード様が傍に居てくれたら大丈夫。なんて思っていたら、今度は町の若い男性たち。
「シェラザード様、いらっしゃっていたのですね。ん?その女性はどなたなのですか?」
「可愛い女性ですね。俺たちにも紹介してくださいよ。」
「観光客ですか?あ、また、シェラザード様、女性に付き纏われています?それなら、俺たちが代わりに相手しますよ。」
伸びて来た手から隠す様に、私を腕の中に抱き入れた。
「勘違いするな。この者は、私の婚約者アメリア=サザライト侯爵令嬢だ。」
皆の顔が驚愕に染まる。
「本当だったのですか?婚約したと言うのは。」
「あんなに誰にも心を寄せなかったのに。」
「ひょっとして、何か弱みを握られているとか?」
散々な言われようである。ここでも、私を悪者にしようとしてる?
「アメリアは、私が乞うて婚約者にした。変な濡れ衣を着せるな。」
それはそれで、周りの領民たちも賑やかに囃し立て、ちょっとお酒が入っていたらしい領民が悪ふざけで私に抱き付いて来ようとして・・・気付いたら、屋敷に戻っていた。
シェラザード様は、真顔だけど怒ってる。でも、流石に領民相手に怪我はさせられなかったらしい。
凄く怒っているけど。
シェラザード様はお父上に報告があるとのこで、私はアシュリー家の書庫へと執事さんに案内されて訪れていた。