第18章 公爵家の領地へご招待
今までも、蕎麦は実っていたけれど知らないが故に処分されていたという事らしい。あ、きのこの存在は知っていた。
私たちは屋敷に戻り、山葵と同じように絵を書いた。だって、収穫はこれからの季節だ。是非、我が侯爵家にも卸して頂きたいです。
絵を眺めながら、どれも初めて見るものらしく不思議そうな顔をしていた公爵様とシェラザード様の両人。親子そっくりな表情をしている。何か微笑ましい。
「でも、こちらではたくさんの小麦が収穫出来るから、パンも色んな種類を作れますし麺や他の・・・。」
二人の目が驚いたものになったことに気付いて、私は最後まで言葉を続けられなかった。
「アメリア、今、何って言った?」
「是非、私も後学の為に聞いておきたい。」
「え、えっと・・・。」
「パン・・・レパートリーありますよね?」
「あぁ、食パンとコッペパンだよな。あ、あれか?サンドイッチみたいに他の食材を挟んだりと言うことか?」
「えっ?あ、いえ、根本的に解釈が違うと言いますか。」
何か、二人の熱い眼差しが怖い。
「シェラザード様・・・一度、領地に帰っていいですか?」
「あ、気分を害させてすまない。」
「そうではありません。屋敷で焼いているパンを持って来たいだけです。」
今回、私が持ってきたパンはクリームパン。これは、幼い弟の好物である。
三個だけ分けて貰っては、シェラザード様と戻った。直ぐに食された二人。あ、目が丸い。
「中から甘いクリーム?」
「果実をジャムにして入れたりもしま・・・せんか?」
「「しない!!」」
そ、そうですか。ジャムパンも美味しいですよ?
「アメリア嬢、当家の料理人に享受して貰えないだろうか?勿論、お父上に許可を得てからだが。」
「大丈夫だと思いますよ?」
父親同士で仲良くしてくれるなら、私は何も問題ない。その方がこの先、気持ちが楽だ。
その後、何故か領主も同伴した領地の視察みたいになって、数日を過ごすことになった私。シェラザード様の婚約者としても紹介され、私たちは皆から祝福された。
でも、疲れるものは疲れるもので・・・あぁ、これか。シェラザード様の目の下の飼っていた隈の原因は。
こんなに動き回れば、疲れるのは無理もない。
流石に五日目の朝は、シェラザード様が拒否してくれてお屋敷でゆっくりと過ごすことになった。
