第18章 公爵家の領地へご招待
私は両手でシェラザード様の顔に触れた。驚いた目が私を見ている。そんなシェラザード様に顔を寄せては、唇を重ねた。
「アメリア・・・。」
「シェラザード様も、あまり無理しないでくださいね?」
「ありがとう、アメリア。」
穏やかな笑みを浮かべるシェラザード様に安堵しては、私は再び身を寄せては目を閉じた。
「こうも、安心して寝られるのもどうかと思うが。まぁ、もう暫くは我慢か。おやすみ、アメリア。」
翌朝、目覚めてみれば隣りにシェラザード様はいなかった。慌てて飛び起きれば、裸体のシェラザード様が驚いた顔をして私を見た。
「おはよう、そんなに勢いよく飛び起きてどうかしたのか?」
私は視線を顔から下に向け、上半身は裸体だが下は履いているのでホッとした。どうやら着替え中だったらしい。
安堵していると、ベッドの傍らに座ったシェラザード様が私を抱き寄せる。触れるだけの口付けをしてから、顔を覗き込んで来た。
「残念?」
「えっ?」
「私の全てを見たかった?」
ぶあわっと、顔が赤くなる。
「そ、そんなこと思ってませんっ!!」
「今なら、簡単に脱げるけど?あ、アメリアが脱がせてくれるってのも魅力的かも。」
「脱がなくていいですし、脱がすこともしません。」
シェラザード様は笑ってから、私から離れて行った。
「少し剣術のトレーニングをする。アメリアはもう少し休んでいてくれ。」
「えっ、あ、私、見たいです。ダメですか?」
「別に構わないが、そう楽しいものではないぞ?」
それでもお許しが出たので、身支度をしてから中庭へと向かった。侍女さんが用意してくれた椅子に座って、シェラザード様の姿を見ていた。
汗がキラキラ光りに反射して、これがゲームならスチルになるシチュエーションだ。どうしてこの世界には、カメラが無いのだろう。
でも、いつもこんなにトレーニングを欠かさずやっているから、あの引き締まった・・・つい、私は想像して両手で顔を覆った。
「アメリア、気分でも悪いのか?」
「えっ?あ、いえ、とっても健康です。」
「顔が赤い様に見えるが、我慢していないのだな?」
何度も頷くと、何とか納得してくれたらしい。
平常心・・・そう、平常心。破壊的に美しかったスチルを私の脳内に収め、絶対に忘れない様にしようと決意。