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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第17章 夏休みの始まり


簡単な山葵の絵を書いて見て貰うと、それを元に探してみると言っていた。侯爵家の領地にも生えていたけれど、そう多くは採れなかったんだよね。

「それと、この黒い液体は?」
「麺つゆです。」
「初めて聞くな。この中に入っている黒い紙みたいなのは?」
「海藻ですよ。以前、ライスと共に食べた魚の卵と一緒に似たあれです。」

シェラザード様が、瓶に入った麺つゆに釘付けだ。確かに、これなら小麦で作った麺にも合うと思う。

「ザビエル、お渡しして。」
「はい。アシュリー様、こちらにご用意致しております。どうぞ、お持ち帰りください。」

麺つゆと薬味のセットである。肝心の蕎麦は・・・うん、精進してください。

三人で食べた蕎麦は、きっちり無くなって三人だけの秘密となった。

「ここにこのまま留まりたい。だが、名残惜しいが帰る。」

また、私に口付けを残しては、帰っていった。あ、そう言えば、蕎麦粉分けて貰いたかったなぁ。次の機会に聞いてみよう。

次に会えるのも、五日後くらいなのかな?


なんて、思ってました。

二日後、今度は中庭で炊き込みご飯を作成中。土鍋での鯛めしである。そして、この土鍋も作って貰ったものだ。

炊きあがったらしい土鍋を開ければ、いい香りが辺りに漂った。淑女らしくないが、思わず涎が出そうになった。

「では、早速。」

口を開けた時、視線に気付いて横に目だけを向けた。

「美味しそうだね。アメリア嬢。」
「あ・・・アシュリー公爵様。」

その後ろには、申し訳なさそうなシェラザード様がいた。

これは一体、どんな状況なんだろう?どうして、ここで公爵様が鯛めしを召し上がっているのだろう。

「あの・・・も、申し訳ございません。」
「うん?どうして謝るんだい?」

そんなの、中庭で鯛めしを・・・。せめて、場所くらい選べば良かった。

「お替り貰ってもいいかな?」

メアリーが直ぐに動いてくれた。シェラザード様も、お替りしている。気が付くメイドは、いつの間にか貝柱の佃煮まで用意していた。

不味い・・・いや、味のことではなく、ライスが進んでしまう。シェラザード様だけならば、私もお替りしていたと思う。

「アメリア様、後は如何なさいますか?」
「焼きおにぎりにしてくれる?」

と言って、視線を感じて二人を見た。そこには、同じ顔をした二人がいた。
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