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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第17章 夏休みの始まり


「焼きおにぎりとは何だい?」

質問したのは公爵様の方だった。私は嫌な汗を流しながら、説明した。そこで、ポツリと呟く。

「領地にこうも豊富な海の産物があると、こんなにも食が豊かになるのだな。よし、近々、海沿いの領地を得られるように尽力しよう。」
「あ、あの・・・今日はどのようなご用件で?」

今更ながら、聞いてみた。

「ご当主にお礼をと思ってね。だが、本当に言うべき相手は、アメリア嬢だと分かったよ。」
「はい?」

一先ず、お父様と話しをされるとのことで、メアリーに案内を頼んだ。気を利かせてくれたのか、シェラザード様は私と一緒に自室へと向かう。

「山葵も見つけた。特に、父上が大層、蕎麦を喜ばれた。父上からも申されると思うが、蕎麦粉や山葵を侯爵家に卸す。」
「代わりに、麺つゆと海苔ですかね?」
「いや・・・たぶん、貝柱もだと思う。」

美味しいですものね、貝柱って。

「では、シェラザード様、どうぞ。」

膝の上に寝転んだシェラザード様。

「少しだけ休ませてくれ。」

直ぐに意識を失くされたらしく、規則正しい寝息が聞こえてきた。そんなシェラザード様の綺麗な銀髪を撫でた。少しは目の下に飼っている隈を薄めることが出来ればいいなと思う。

15分程した頃、シェラザード様のお父上が訪ねて来られた。どうやら、お話しは終わったらしい。

「息子がすまないな。申し訳ないついでに、今日はアメリア嬢の傍に置いてやってくれないか?」
「はい。」
「今日はありがとう。では、また。」

あ、消えた。シェラザード様は、目を開けた。

「あ、起きてらっしゃったんですか?」
「流石に気付く。父上も私が寝たふりしている事に気付いておられる。だが、そのお陰でこうしてアメリアといられる。」
「もう少しだけお休みください。まだ、時間はありますので。」
「分かった。」

そう言って、再び、目を閉じたシェラザード様。

寝姿も見慣れてきたとはいえ、麗しいです。大丈夫、私は襲ったりしませんから。

「アメリアから、私を求めるのなら本望だからな。」

・・・心が読めるのですか?


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