第4章 Backtrack
『…タケミっち、もちろん力は貸すよ。
でも、それだけじゃダメ。それだけじゃ誰も救えない。』
「え…」
『あなたも私に力を貸して。
それに、自分のことを俺なんかって卑下しないで。
貴方はちゃんと過去に万次郎に認められたでしょう?万次郎は下らない人間を側に置いたりしない。
貴方はちゃんと力を持ってる。
だから、その力を私にも貸して』
「伊織さん…!!!」
『さ、立って。
ヒナちゃん助けに行くんでしょう?
万次郎にもちゃんと言われたじゃない。【大事にしてやれよ】って』
「…ズズッ
はい!!!」
タケミっちは涙を拭いて立ち上がると、その瞳に光を宿した。
そのまま橘さんに向き直ると、橘さんも小さく頷いて両手を差し出した。
「…龍宮寺堅が死ぬのは8月3日です。
佐野との内輪揉めが原因の抗争で刺殺されます。
今回のミッションはその内輪揉めを止めることです。」
『…わかった。
あ、タケミっち、私たちはこれまで通り、喧嘩賭博でたまたま出会ったって体のままだから!
間違っても普通に話しかけないでね?万次郎鋭いから怪しまれちゃう』
「はい!
…必ず止めて見せる」
「…頼みますよ、2人とも」
『じゃあ、行ってくるね、千冬くん。』
「はい。待ってますから、どうか気をつけて」
『ふふ、ペヤング買って待っててね?』
「っ!はい!!!」
「…それでは、用意はいいですか?」
『ええ!』
「おう!」
「では、お二人共、ご武運を」
バチッ!!!