第4章 Backtrack
2日後
私と千冬くんは再び橘直人の家に訪れていた
家に足を踏み入れた時からわかった
…この2人の雰囲気がどこか前とは違う
良い意味ではない
…暗くて重い雰囲気
きっと何かあったんだ
「…お時間いただきありがとうございます。
それから、伊織さん、松野さん。
先日の僕の発言、本当に申し訳ありませんでした。
全て伊織さんのおっしゃる通りでした。」
「…」
『…』
「…」
まずは橘さんがそう言って私たちに頭を下げた
…そして、顔を上げた時の目はまるで今まで私たちに向けてきた少しの疑念がなくなっており、ただ真っ直ぐだった
「…それから、お二人にお伝えしなければならないことがあります。
この2日間、僕とタケミチくんは現東卍の幹部と接触することに成功しました。」
『っ!誰!?』
「本当か!?」
「ええ…しかし、彼はタケミチくんの目の前で飛び降り自殺を図り、まもなく死亡が確認されました。
亡くなったのは千堂敦さん26歳、タケミチくんのお友達でした」
『…そう』
「…」
それで彼はあの状態なのか…
…目の前で昔の友人が自殺したとなると、流石にキツい
それに…千堂敦、か、、、
聞いたことないな…
「…俺、俺は、、、」
『…』
じっと、部屋の隅で蹲っていたタケミチくんが震える声で話し始める
「オレは…ヒナもアッくんもドラケンも、、、!!
みんな、助けたい…!!!」
『…』
「…」
「でも!俺なんかには、無理だ…!
俺だけじゃ、力も何もかもが足りない!!
だから、伊織さん…!」
「オレに、力を貸してください…!!」
タケミチくんは、涙をボロボロとこぼしながら、私にそう言った