第4章 Backtrack
辞めることも逃げることもできない
ここまで人を怯えさせるほどの男…稀咲鉄太
「タケミチ
マイキーが変わったのはドラケンが死んで、伊織さんが失踪してからだ」
「え?」
…これで確証が得られた
伊織さんやタケミチくん、松野さんの言った通りか
…鍵は龍宮寺堅
彼を救えば東卍は変わらない…!
「あの人は死ぬべき人じゃ無かった。
伊織さんもマイキーくんも、それから壊れた。
それで、伊織さんがある日急にいなくなってから、マイキーくんは本当に堕ちた。」
「アッくん?」
千堂の足音が遠ざかっていく
…それに、伊織さんがアメリカへ渡ったことも佐野が変わった理由のひとつ、か。
…やはりタケミチくんの言うように、傍目から見た3人は、本当に3人でひとつだったんだ
「危ねぇよ!!降りろよ!!!」
「!?」
尋常じゃないほどのタケミチくんの声
…千堂、、まさか!!
「がんばれよタケミチ
みんなを助けてくれ」
「アッくん!!」
「泣き虫のヒーロー」
「ダメだよ!!アッくん!!
アッくん!!!」
クソ!間に合え…!!!
ドサッ
「はっ!」
イヤカフ越しではない
反対側の耳から、音が聞こえた
「はぁ、は、、、はぁ、、、アッくん?」
…千堂はもう、、、
僕は静かにイヤカフを取り、電源を落とした
そして仕事用の携帯を手に取って電話をかけた
「あ"あああああああ!!!」
「…飛び降りです。
すぐに手配を」
タケミチくんの、耳を塞ぎたくなるような叫びを聞きながら