第4章 Backtrack
「ゲホッゲホッ、、、高宮伊織…
あの人、ただの医者じゃないですね。
あの動きはそれなりに実践か訓練か…何かしらの経験がないとできない。
僕だって警官の端くれです。多少の心得はあると言うのに…」
「…伊織さんは昔、12年前はマイキーの女って呼ばれてるほどの人だった。
戦うこと、というより、表に出ることがほとんど無いから、存在するかどうかすら怪しかったって、、、」
「…佐野の女とまで言われる人なら、考えられなくは無い、ですかね…ゲホッ
タケミチくんから見た主観でも構いません。
東卍のトップである佐野、今は亡き龍宮寺、そして高宮さん。
昔の彼らはどんな人物でしたか?
出来るだけ詳しく教えてください。」
「あ、ああ」
息を整えながらタケミチくんにそう聞く
…僕としたことが、完全に感情のまま口が動いていた
佐野を殺したいと思っているのは本音だ
もし僕がタケミチくん達のようにタイムリープできたなら、僕は迷わず佐野を殺す
だがそうすることはできない以上、彼らに託すしか無い
…佐野と親しかった彼女の前では言ってはいけないことくらい、わかっていたのに、、、
「なんつーか…その3人はいつも一緒にいてさ、みんな何も言えないマイキーくんに2人だけが対等に言い合えるっていうか、、、
3人でひとつって感じだった」
「…マイキーの女と呼ばれるのは、彼らが恋人同士だからですか?」
「いや、そうじゃ無いらしい
ずっと一緒にいる姿を他の人が見てそう言われるようになったらしいけど…でもお互いに好き合ってるのは見てたらわかるよ」
「…一体伊織さんは東卍にとってどういう立場なんです?
君たちがタイムリープしている間、僕も警察ネットワークを使ってできる限り昔の東卍について調べましたが、彼女のことは名前はおろか、噂すら手に入らなかった
そこまで中枢にいて情報がゼロなのは変なんですよ」
龍宮寺堅の死んだ日はわかった
佐野と稀咲が出会った時期も
しかし佐野に女がいたことすら僕は掴めていない
総長の近くにいる人間の情報が全くない
そして現在は東卍から離れ、医者として名を馳せている
彼女は一体過去では何者だったんだ?