第16章 Murderers
「ハァ…ハァ…」
「ハッ、ハッ、ハッ、」
『…』
でも…結局人の繋がりがわかっただけで根本的なところはわからなかった
結局俺たちは過去に戻って何を止めればいい?
稀咲とイザナの狙いはどこだった?
そして…なんで伊織さんは灰谷兄弟を呼んだ?
なんなら灰谷兄弟どころかイザナ本人を呼ぼうとしていた…!?
なんで…何を考えてる!?
「タケミっち」
「へ?」
反射的に呼ばれた方を向いて足を止める
細い路地の中
影から現れたのは銀の銃口、そして…
「稀咲!?」
『っ!』
「死ね」
「タケミチくん!!」
グイッ
ドン!!!
「…え?」
後ろから思い切り襟を掴まれて飛ばされた
死んだと思ったら俺は地面に情けなく倒れ込んでいて、振り返ると、
「伊織…さん?」
『…』
俺が居たところに伊織さんが立っていた
「オイオイオイ、高宮ぁ…
テメェこの前から一体何がしたいんだ?」
『…』
「伊織さん!血が…!!」
「え?」
ナオトがそう叫び、俺もその言葉に反応して伊織さんの方を見上げる
左の脇腹
そこにじんわりと赤いシミが広がって彼女の身体を赤く染めていた
伊織さんは傷口を一瞥もせずになんてことのないように立っている
「灰谷が迎えに行ったの拒否ったんだって?」
「あれは…」
「勿体ねえ…
アイツら、それなりにいい男だろ?」
黒川…イザナ…!!
『イザナ…』
「どうした?ご指名の俺がわざわざ出向いてやったんだ。
もっと喜べよ。」
『…っ…殺す!!!』
「っ!」
ゾワリと、
伊織さんから発される殺気があたりを包んだ
俺もナオトも、稀咲ですら後退り、まともに動くこともままならなかったが、イザナだけはそれを見て楽しそうに笑った
「ハハハハッ!
…やってみろよ。」