第16章 Murderers
「っ!?ココくん!!?」
『…』
「チッ…何故バレた…!」
ココくんが部屋の扉を乱暴に開けて走ってくる
ココくん1人だけでイヌピーくんの姿は見えない
「早く!!イヌピーが止めてくれてるけど長くは持たねえ!!
裏から逃げろ!!!」
反射的に俺も大寿くんもナオトも立ち上がるけど、伊織さんは座ったままでその表情は窺えない
逃げるって…誰から…!?どこに…!?
「おー、懐かしい顔が揃ってんなぁ」
「っ!?」
「テメェら…灰谷兄弟…!!」
「1人にしてはまぁ頑張った方じゃね?」
ドサッ
「イヌピーくん!?」
「テメェ…イヌピーに何した!?」
「ギャーギャー喚くな。
麻酔で寝てるだけだ。」
「灰谷兄弟!?」
大寿くんがそう呼ぶ2人に目を向ける
ハロウィンの時にチラッとしか見てなかったけど…兄の蘭はあの特徴的な三つ編みは紫の短髪になっていて、弟の竜胆はウフルカットに変わっている
どことなく面影はなくもないけど…纏う空気といい、もうほとんど別人だ
「それから…伊織サン♡迎えにきたよ。」
「えっ!?」
『…イザナは?』
「大将は後から来るってよ。
なんだ?俺らじゃ不服かよ。」
「えー、女王サマ迎えに行くナイト役、俺割と似合ってっと思うケド」
迎え?
それにイザナは?って…どう言うことだ…?
纏まらない思考のまま、浅い呼吸を繰り返しながら伊織さんを見ることしかできない
そんな俺たちを他所に、3人は淡々と言葉を交わす
『そうね。不服よ。
私はイザナに迎えに来いと言った。』
「あ?…大体サツのPCからメールって何考えてんだよ。」
『バレるようなヘマはしてない』
「ハハ、流石。
伊織サン本当…よくやるよね〜」
「伊織…さん?」
「何言って…」
そんな…まるで伊織さん本人がコイツらを呼んだみたいな…
そんな物言いに俺もナオトもココくんもみんな開いた口が塞がらない
どうして…なんでそんなことを…