第16章 Murderers
「「伊織さん!!?」」
『…』
「え…イヌピーくんに…ココくん!!?」
「昨日言ったろ。
俺より当時の東卍やらなんやらに詳しい奴らだ。
というより…誰よりも詳しいのはそこの女だがな。」
2人に駆け寄られても表情ひとつ変えずに光のない瞳で2人を見つめる伊織さん
2人はそんな彼女の顔を見て顔を歪め、代わる代わる言葉をかけていった
「伊織さん…あの時は本当にすみません。
俺のせいでアンタが代わりに…」
「ココは悪くねぇよ。
俺がココを守れなかったから…」
『…』
「でも伊織さん、アンタのおかげで俺たちはこうしてカタギで生きてる。
いくらアンタらが悪に染まっても、俺たちだけはアンタらを責めねえ。」
「謝ってもどうにもならねえけど…今の俺たちが少しでもアンタの役に立てるなら、なんでも言ってくれ。
喜んで俺もココもアンタの手足になる。」
「えっと…」
いまいち全く話が見えなくてナオトと顔を見合わせる
…この2人…伊織さんとそんなに関わりがあったのか…?
よくわからねえ…
「もう挨拶は済んだか?」
「ああ。悪いな。もういいよ。」
「じゃあ大寿、俺たちはもう一度この周辺回ってくる。
先に始めててくれ。」
「ああ」
そう言うと2人は俺たちが入ってきた扉から出て行き、部屋の中には俺と大寿くん、伊織さん、そしてナオトの4人だけになった
大寿くんはドカリと椅子に座りながら確かめるようにゆっくり口を開いた
「いいか、警察に協力する気はねぇ。
だが俺も八戒のことで東卍には因縁がある。
情報交換だ。警察が掴んでることも、高宮、テメェが何を考えているのかも知りてえ。
今からするのはここだけの話だ。」
「わかりました」
「遠慮せずに食え。俺の店だ。」
「すげっ!社長さん!?」
まぁ…着てるスーツからして相当良いものだろうとは思ってたけど…
この規模のレストランの社長さんって…やっぱとんでもないなこの人