第16章 Murderers
「うわー!懐かしい!!」
あの頃より少し塗装が剥げて渋くなった教会を見ながらそんな言葉が思わず出てくる
俺の体感的には1ヶ月くらいしか経っていないけど、この建物ほあれから12年もの年月を重ね、老朽化が進んでいる
そのギャップがなんとも言い難いけど、懐かしいという思いが1番に胸に広がった
中は誰でも入れるようになっているみたいで、こんな時間ではあるけど数人の人が礼拝したり椅子に座っていたりとさまざまな過ごし方をしている
俺も後ろの方の椅子に腰掛けてなんとなくため息をついた
ここで黒龍と戦って…結果未来はいい方向に変わったって俺も伊織さんも確信してた
柚葉が大寿を殺すのも止めたし、黒龍は壱番隊の下について、稀咲も東卍から追い出せた
「なのに未来は良くなってないし、なんなら酷くなってた。
伊織さんも悪に染まり切ってしまってたし…」
なんだか悔しいとか悲しいとか通り越してイライラしてきた
「あーもう!!どうしたらいいんだよ!!!マジで!!」
「うるせぇぞ…」
「っ!?あ!すいません…」
そうだ…人少しはいたんだった…
流石に教会だし悪いことしたと思ってすぐに謝った
図書館で騒ぐレベルで恥ずかしいことしたな…俺…
「お前もアイツの冥福を祈ってくれ。」
「…はい?」
「アイツが死んでから毎日ここに来るようになっちまった」
「え?」
「八戒は天国でも弱虫のままかな…」
「…!?」
まさか…!!?
「アーメン」
「大寿くん!!?」
─花垣ィ!!
10代目…黒龍総長柴大寿…
「みんな死んじまったな。
元気してたか?花垣ィ」
「お久しぶりです!!
少し…話せませんか!?」
「あん?」
「黒龍と黒川イザナについて!!
そして天竺と東卍について!!どうしてもお聞きしたいんです!!」
やっと見つけた…!
過去の東卍を知る生存者…!!
この人なら…俺が過去で何をすべきか知っている…!
「…まぁいいだろう。
だが明日の夜まで待て。
…俺よりもっと詳しい奴らを連れてきてやる。」
「?はい…」
「明日午後9時にここに来い。」
大寿くんはそう言って一枚の名刺を俺に渡して帰っていった
…詳しい奴らって…誰だ?