第16章 Murderers
ナオトと2人でリビングに戻ると、相変わらず伊織さんはソファに座ったままジッと一点を見つめ続けていた
「お待たせしました。
…一度整理しましょう。
今過去では天竺という新しいチームが出現し、今度はそこに追放したはずの稀咲が参謀として加入している。」
「うん。」
「しかしその稀咲は未来では死に、尚且つ警察は天竺というチームの名前すら把握していません。
一体稀咲は今過去で何を狙っているのでしょう。」
「あ、そっかで稀咲死んでるんだった…
ってことはてやっぱり今回アイツも失敗してる?」
『…』
稀咲にとって計算外の何かが起きたのか?
伊織さんは黙ってはいるものの視線はホワイトボードの方へ向けていた
俺も前の世界線とは違った写真の並びに視線を走らせる
「…ん?黒川…イザナ…?」
『!』
「あ"ーーー!!!」
「っ!?」
「ナオト!!この黒川イザナって奴!何!?」
「ん?あー…東卍幹部の1人のはずです。
確か…黒龍の元総長だったはず…」
「え!?黒龍の元総長!!?
何言ってんだよナオト!コイツは天竺の総長のはずだぜ!!?」
「え!?」
「どういうことだ…?
俺の見てきた過去と違う…」
「コイツが天竺の総長…調べてみる価値はありそうですね。」
『…』
その日はそれでお開きになり、俺も俺なりに調べてみると言ってナオトの家を後にした
伊織さんは今指名手配中ということもあり、無闇に外には出せない
ナオト自身警察ということもありかなり危ない橋を渡っていることにはなるけど、どうせまたタイムリープして歴史を変えるならいいと言って伊織さんを匿ってくれるらしい
でも…黒龍つったら…そういえば俺の隊にイヌピーとココが入ったっけ…
そういえばあの時…
─ちゃんと2人を守ってね?
隊員を守るのも立派な幹部の務めよ
あれ、どういう意味だったんだろ…
2人とも死亡者リストには入ってなかったから生きてはいるんだろうけど…
連絡先とか知らねえしなぁ…
「あ…黒龍といえば…」
あそこに行ってみるか
俺は凍てつく夜の中を少し散歩がてらあの場所に向かった