第16章 Murderers
「ちくしょー!!悔しいぞ!タケミチ!!」
─ちくしょー!!悔しいぞ!タケミチ!!
「え?」
─じゃあ俺が仇とってやるよ!カクちゃん!
まさか鶴蝶って…
「カクちゃん!?」
「ハハ…やーっと思い出したか。バカミチ。」
「えーー!!?え!?えーー!!!」
「小2以来だな!」
確かに…昔公園でよく遊んでたカクちゃん
どこかその時の面影も感じなくはない
俺からしたら20年前くらいの話だけど、カクちゃんからしたら5、6年前の話だもんなぁ
「カクちゃん!?
そうだ思い出してきた…確か小2の時転校しちゃって…
えー!元気!?ってのもなんか変だけど」
「ふっ…まぁ元気だ。
…お前と二人で話したくてね。」
「え?」
「わざと負けた!」
「いやそれはウソだろ」
「ばっ…本当だぜ!?俺めっちゃ強えんだからな!!」
「ハイハイ…ぷぷっ
昔からそうやって喧嘩ばっかして負けず嫌いで、変わんねーなぁ」
「だからー…」
「あのカクちゃんが天竺の四天王かよー」
「お前の噂も聞いてるぜ。
東卍の壱番隊隊長代理。
お前もあの頃から変わんねーなぁ。」
「!」
「俺のヒーローだった」
あの頃にはなかった顔の大きな傷
カクちゃんにも引っ越してから色々あったんだろう
そんなことを思っていると、カクちゃんはきゅっと表情を引き締めて口を開く
「天竺総長の名前は黒川イザナ」
「え!?」
「今のおれのヒーローは黒川イザナだ。
俺はこの人に命を捧げてる。
つまり…俺とお前は敵同士だ。」
「…」
「だからこそ頼みてえ。
…黒川イザナを救ってくれ。」
「は…」
突然出てきた天竺総長の名前
そして敵だと言いながらそいつを救ってくれと言うカクちゃん
…意味がわからない
「…どういうことだよ、カクちゃん」
「タケミチ、俺はこの抗争をよく思ってねぇ。
イザナは稀咲とかいう野郎に利用されてる。」
また稀咲…?
「頼んだぞ。タケミチ。」
どういうことだ…?
また俺は稀咲に踊らされてんのか?
カクちゃんの言葉の真意が読めないまま、俺たちは東京へと戻り、緊急集会へとバタバタ向かうことになった