第16章 Murderers
あれから場地くんに今日はもう帰れと言われて帰路に着く
流石に表向きに体調悪い人に向かって話がしたいとは言えなかった
「さて…振り出しに戻ったわけだけど…」
「うん…」
「正直未来の話聞いてビビってたとこあるけど、今はびっくりするほど平和なんだよなぁ…」
「そーなん?」
「おー。
年明けてから特に東京のどのチームも動きはない。
平和そのものだ。」
「平和…そっか…」
「だからよ。不安なこととかいっぱいあるけど、そんなに焦ることないんじゃねぇか?
これから悪い方に転じるにしろ、少なくとも何か事件が起こるんだろうし…その前触れ的なものが起こってからの方が糸口見つかるかもしんねーし。」
「千冬…」
「ってことでさ!とりあえず今日のところは帰ろーぜ。
駅まで俺も用あるから一緒行くし。」
「うん…そうだな。」
千冬の言う通り、何もできないものを悩んだって仕方ねえ
いつか伊織さんも言ってたこと…第二の作戦
事件が起こってからってのは少し不安だけど…それしかない以上備えるしかない
「じゃあな、タケミっち」
「おう!また明日」
改札で千冬と別れて乗り場まで向かう
ちょうど列車が到着したようで走って階段を降りて扉が開くのを待つ
「…え?」
「ここが渋谷?」
「都会つってもそんなに変わんねーな」
「とりあえず不良ボコればいーん?」
「おいどけ!クソガキ」
「すっ、スミマセン…」
ゾロゾロと、幾つもの車両から降りてくる赤い詰め襟の不良達
なんだ…コイツら…
「あ?オマエ不良だな!!」
「へ!?」
「オイ!さっきのやつ連れてこい!!」
「オイ見ろ。コイツ東卍か?」
「え!!?アッくん!!!?」
1人の男に連れられてきたのはボコボコにされたアッくんだった
何があった…?コイツら何者だ…?
「バカ…タケミチ…」
「オッケーオッケー」
「テメェが東卍の5人目の餌食だ。」
5人目…?
東卍?餌食…?
コイツら東卍だけを狙ってる?
何が起こってる…?
ただひたすらに混乱した俺を他所に顔を上げると目の前には勢いづいた拳が迫っていた