第16章 Murderers
「いっっってぇ!!」
「あー?どうした?タケミッチ」
「ぅぅ…めっちゃ沁みる…」
「そりゃそうだ。
自業自得だバーカ」
千冬に辛辣な言葉を浴びせられ、痛みによる涙より違う意味での涙が出そうだ
…これジャンプーとかしたら死ぬんじゃないか?
「で、実際どうするよ。
ただマイキーくんにぶつかってもどうにもなんねえじゃん。」
「確かになー。
それに、伊織さんのことも心配だ。」
「うん…実際未来で自殺したほどの精神状態だ。
しかもあの人…俺らのこと殺してんだろ?ガチで。」
「ああ。
少なくとも三ツ谷くんの首絞めたってのは聞いた。
俺と違って伊織さん記憶残るしなぁ…」
「感触とかそーいうの全部覚えてるってことか…」
「うん。
…元々の伊織さんの人格ならまず耐えられるもんじゃない。
あの人医者だし…。」
「…こっちの世界でも死にかねないな…」
何もかもどうでもいいと思ってしまっているのなら、正直詰んでる
俺がいくら説得したって無駄だろう
多分、今の彼女を生かせるのはマイキーくんだけだと思う
「それに、いつも伊織さんの記憶か未来の千冬が情報源だったわけだけど…千冬は死んでるし伊織さんはあんなだし…
どこから手をつけていいのかもわかんねえ。」
「…でもさ、本当になんでマイキーくん達はそんな風になったんだろうな?」
「12年で人ってそこまで変わるもんか…?」
「うーん…それだけ心に元々秘めてた闇が深かった…とか?」
「闇?」
「わかんねえけど、なんか変わっちまうきっかけはあったってことだろ?」
きっかけねぇ…
やっぱりジクジクと痛む手の痛みを我慢しながら頭を洗う
…あの未来で根本的に変わってしまった所…
「…稀咲は?」
「稀咲?」
「だって今までの東卍との違うところって、伊織さんがいることと入れ替わりで稀咲がいないことだし…」
「それって…マイキーくんにとって伊織さんよりも稀咲の方が必要だったってことか!?」
「え、いや…」
「んなわけねえだろ!
マイキーくんと伊織さんが一緒にいることが悪の原因な訳ねえ!!」