第16章 Murderers
「えええぇ!!?」
「…」
「みんな…死んでた!!?
しかもマイキーくんと伊織さんに殺された!!?」
「ああ」
「…マジかよ…」
最高のコンディションで未来に帰ったと思っていた手前、まさかの事態にそれ以外に言葉が出ない
そりゃ…多少頭おかしくなって奇行に走るのも無理ない…のか…?
「…だから俺、強くなるんだ。」
「へ?」
「未来の俺は東卍辞めてみんなに庇ってもらってた…!
伊織さんは逃げずに戦い続けていたのに!
…情けねえ!!」
ピシャッ
「?」
タケミっちがタイヤを殴ると地面に赤い水が跳ねる
…赤い…血?
「だから東卍に居続けるために…みんなに認めてもらわなきゃダメなんだ!!」
「ちょっ…と待て!!お前…手…これ、血まみれじゃねえか!」
「…」
「まさかお前、ずっとコレ殴ってたのかよ!?」
ドゴッ!!
俺がそう言ってもなお、タケミっちはタイヤを殴り続ける
「やめろ!
そんな拳痛めつけて壊したら強くなるも何もねぇぞ!?」
「じゃあ…どうしたらいいんだよ!!?
考える時間なんてなかった!!マイキーくんが目の前で死んで…伊織さんが自殺しようとしたから!!!」
「伊織さんが…!?」
「とりあえずその場凌ぎでこっちに逃げただけで…
これから次は何をすればいい未来が訪れるのか!何か手掛かりがないか!本当に2人がみんなを殺したのか!!何もわからない!!!」
「っ!いい加減にしろよ!タケミっち!!
ちょっと頭冷やせよ!」
「ハァ…ハァ…」
力ずくではあるが、タケミっちを引っ張ってタイヤから引き離す
…相棒の言う通りなら、コイツはさっきマイキーくんを目の前で失い、伊織さんも死にかけたんだろう
少し冷静になる時間が必要だ
俺は相棒に背を向けて少しそのまま雨に一緒に打たれた
冷たい雨が色々なものを洗い流してくれるような気さえしていた