第4章 Backtrack
「オラ、マイキー1人で登れんだろ?
先登れよ」
「了解〜よっと!」
万次郎は少し勢いをつけて欄干に捕まると、身体中のバネを使ってスルスルと登っていく
小柄なのにちゃんと筋肉は付いてて、それでいて関節が柔らかい
身軽だなぁ
「んじゃ次伊織
マイキー、俺が持ち上げるから上から引っ張れよ〜」
「わかってるって!」
「行くぞー
よっ、」
『わっ!!』
「ほら、伊織こっち捕まって!」
『うん!』
けんちゃんは私の腰を掴んで軽々と上に持ち上げる
と、手を伸ばすと、万次郎がしっかりと手を握ってくれて、引き上げる
私は横の雨樋に足をかけ、万次郎の力を借りながら屋根に登った
「次ーエマ行くぞー
伊織も手ェ貸してやれよ?」
『もちろん!
エマ!先に万次郎の手つかまってね?』
「うん!
ドラケン!お願い!!」
「了解っと!」
「エマ、コッチ左手頂戴
右手は自分で屋根のとこ持って
ちょっと引っ張るよ?せーのっ!」
『エマ、腰のとこ掴むねー』
「うん!」
そうしてエマも登り切ると、最後にけんちゃんが自分の腕力だけで登ってきた
「わー!流石ケンチン!!」
「鍛えてっからな!!」
キラキラとした笑顔でそう言うけんちゃん
でも、本当に、中学生の体格じゃないな…
『ありがとう2人とも、重くなかった?』
「ぜーんぜん!
伊織もエマも軽すぎ」
「ああ。野郎共とはやっぱ違うな〜
軽いわ、お前ら」
「やったー嬉しい」
私とエマは向き合って笑った
…そういえば、身体は中学生の頃の身体だから、少し軽いし動きやすい
意識は大人だけど、身体能力とかはあの頃のままなんだ
大人の私なら、上から万次郎に引っ張られただけじゃきっと自力では上がれないからなぁ