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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第16章 Murderers



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「何か言い残すことはあるか?
場地…千冬…」

『…』

「…」

「…」




俺が場地に、伊織が千冬の頭に銃を突きつけながらそう言う
暗いトンネルの中、雨水がパイプを伝って地面に水溜まりを作る音だけがその空間に響いていた




「…花垣武道を、覚えていますか?」

『…』

「…ん?」

「いつかマイキーくんを探して訪ねてきます。
その時のアイツは、まるで時を超えたように昔のまんまです。」

「?」

「アイツの目をしっかり見てやってください。
アイツの目に嘘はないから。
どうか…信じてあげてください!」




伊織に銃を向けられたまま俺に向けてそう言う千冬
そして次は伊織に向き直りながら口を開く




「…伊織さん、ご自分を責めないで下さいね。
こうなったのは貴方のせいじゃない。
…俺は貴方に出会った日から、どんな運命になろうとも受け入れるって決めてましたから。」

『?』

「…前を向いて、進み続けてください。」




話の意図を掴み取れない物言いに、伊織もあからさまに眉を寄せる
俺は目の前の場地に目を向けながら場地の言葉を視線で促す




「俺か?
そうだな、特に残してぇ言葉はねぇが…まぁ、マイキー、伊織。
これからお前らがどうすんのかは知らねえけどよ…お前らは互いの手、離すんじゃねぇぞ。」

「…」

「それと…千冬ぅ、いいんだな?」

「はい、すみません。
お願いします。」




2人がそうやりとりすると、場地はニヤリとあの頃のように笑って見せた




「っ!」

『!?』




と、俺から銃を向けられた状態であるにも関わらず、場地は自分の胸ポケットに腕を突っ込む
次に出てくるモノを瞬時に察して俺は隣の伊織の腕を引いて下がらせた




「じゃあな!お前ら!!」

「伊織さん!貴方に俺は殺させませんよ!」




パン!パン!!




その言葉を最期に、場地は千冬を撃ち、そのあと自身の頭を撃ち抜いた




ドサッ





折り重なるように倒れた2人
俺たちは自分達の構えていた銃の撃鉄を下ろし、何の感情もなく2人の亡骸を見下ろしていた





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