第16章 Murderers
「俺を殺せ。
ここで全て終わらせたいんだ。
…俺の夢を。」
「何言ってんだよ…?マイキーくん
や、辞めて下さいよ!訳わかんないですよ!!」
「…」
「そんな…会っていきなり"俺を殺せ"なんて…俺はただ!マイキーくんに会いたかっただけなのに!!」
震える声で俺がそう言うと、マイキーくんはふっと一度小さく笑って遠くを見ながらポツリとつぶやいた
「【会いたかっただけ】か…
八戒も死に際そんなことを言ってたな…」
─
──
───
「ハァ…ハァ…
…マイキーくん、伊織さん…」
「…」
『…』
「最期にまたタケミっちと…みんなで騒ぎたかったなぁ…」
『…』
「…」
───
──
─
「八戒…?死に際…?」
─柴八戒、焼殺
やめろ…もう、やめてくれ…
「夢を叶えるのは難しいね。」
俺の思いを知ってか知らずか、マイキーくんは空を飛ぶ鳥を見ながら淡々と言葉を並べて行く
「"不良の時代を創る"その道目指して東卍は突き進んでたはずなのに、いつのまにかこんなんになっちまった。」
「【こんなん】?」
「…初めて人を殺した時、何も感じなかった。」
「っ、」
「そして思ったよ。
世の中の難しいことって大抵、人を殺せば簡単に解決するって。
邪魔なもんは全部消しちゃえばいいんだって!」
屈託のない表情でそう言い切るマイキーくん
違う…!!
そう思った時には、俺は彼の骨張った肩を思い切り掴んでいた
「違うよ!!?マイキーくん!!
マイキーくんは変わってねぇ!!!あの頃のまんまだよ!!」
「…やめろ、タケミっち」
「オレ目ぇみてわかるもん!!なんにも変わってねえよ!」
「やめろ」
「変わってないよ…だから、だから!!
消すとかそうゆうのやめてよ!!!」
ガッ…ドサッ
「う…」
「お前はなんなんだ…!?」
背中から地面に叩きつけられ、頬には拳銃が突きつけられる
でも…不思議と怖くはなかった
「千冬も死ぬ前にお前のことを話していた…!
…お前は…一体何なんだ!!?」
その声はただただ苦しそうで、その目は全てを吸い込みそうなほど澄んだ黒だった