第16章 Murderers
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「やめろ、マイキー」
「あ?俺に命令すんのか?テメェ…」
「俺もドラケンに賛成だ。」
「三ツ谷…」
「アイツらはこれからの東卍に向いてない」
2人はそう言うと示し合わせたかのようにその場に膝をついた
そのまま覚悟を決めたような声色で話を続ける
「マイキー…お前の選んだ道は修羅の道だ。
俺も三ツ谷もこの先の命お前に預ける…そう決めた。」
「でもねマイキー。
タケミっちは俺らの恩人なんだ。
俺らみたいになって欲しくない。」
「場地と伊織もだ。
…今ならアイツらも引き返せる。もう十分だろ?
場地は俺らと違って身体の制限もある。伊織の方は前からみんなで決めてたことじゃねえか!
今がその時なんだよ。」
「…」
「…伊織のことは場地にもう託してある。
これ以上、アイツら3人を巻き込まないでやってくれ。」
2人の言うことがきっと正しいのだろう
タケミっちのことも場地のことも伊織のことも…
顔を上げた2人の表情はなんとも言葉にし難くて、しばらくうまく言葉が出なかった
『…勝手なこと言わないで』
「っ!?伊織!!?」
「お前…なんで…」
狼狽える2人を他所に、カツカツとヒールの音を響かせながら伊織は俺たちの前にやってきた
最後に見た時には長かった黒髪を肩よりも上で切り揃え、いつもより数段据わった目つきで俺たちの元に歩いてくる
その後ろからバツが悪そうな顔をしながら場地も着いてきていた
『タケミっち?とかいう子はもう東卍から出したわ。
特にスキルもなく、尚且つこの組織に居たくないという人間を縛っていたところで利はないものね。』
「っ、、おい場地!!お前何してんだよ!」
「悪い…途中でバレちまって…」
『逆に私のことを騙せると思ったの?』
「っ!クソっ…」
「伊織」
苦虫を潰したような顔をする3人を横目で見ながら俺は一度伊織の名を呼ぶ
伊織は真っ直ぐに俺の視線を受けると、俺の言葉を待った