第16章 Murderers
パチン
『っ…ここは……』
タケミっちがナオトさんと握手したんだろう
目の前で火花が散るような感覚に一瞬目を閉じて開くと、そこは暗い倉庫のようなところだった
電気がついてなくて目が慣れてない今はほとんど見えない
少し肌寒いな…
「ぐ…ぅ、」
『え…?』
私が座り込んでいる下の方から男の人の声のような音が聞こえた
反射的に自分の下…手元の方へ目を向ける
『っ!!!たかちゃん…!?』
「ッ!ゲホッゴホッ!!…ハァッハァッ…ゴホッ!」
『えっ!?大丈…なんで…!』
「ゼェ…ゼェ…伊織、?」
『今…私…』
慌ててそこから飛び退く
息が上手くできない
それより…私今…なにしてた…?
「伊織…
今更何を怖気付いてる。
…早くやれ。」
『まん、じろ?』
「…俺の隣でパーを撃ったのは…お前だろ?」
『ぇ…』
「三ツ谷も早く殺せ。」
『…は、、何…で、、、』
万次郎が何を言っているのか
何が起こっているのかわからなくて右手で頭を抱え、そのまま首筋へと手を滑らせる
と、自分の右の首に触れた時、どこからか身に覚えのない記憶が濁流のように押し寄せてきた
─伊織!どうしてお前がいてこうなった!!なんで助けられなかった!!?
俺と場地は助けられたのに…なんで……!
─ごめんね、パーちゃん
─伊織、三ツ谷はお前が殺せ
─一虎は俺が殺す
─…俺の番は最後か?
待ってたよ。マイキー、伊織…お前らに殺されんなら、仕方ねえわ。
『たか…ちゃん…?』
私はそのたかちゃんの言葉を聞いて、躊躇なくその首に手を掛けた
彼は抵抗もせず、大人しく私に押し倒された
私は、たかちゃんをこの手で殺そうとした
否、たかちゃんも、私が…
『ハァッハァッ』
「…もういい。俺がやる。」
『万次郎!まっ…ぁ、』
脚に…身体が言うことをきかない
万次郎がたかちゃんの首に手を伸ばすのをただ見ていることしかできなかった
呆然と苦しむたかちゃんを見つめるだけの私に、たかちゃんは最期に目を細めて笑った
たかちゃんが動かなくなった時、私の中で何かが崩れた
私は…私たちは…もう…
Murderers─殺人者達