第15章 Merry X'mas
「ほらタケミっち違ぇって!!」
「えぇっ!?」
「ここでアクセル戻してクラッチ握る!!」
「クラッチ…って、なんでしたっけ?」
「さっき言ったじゃん!要領悪っ!!」
いや、むずいんだけど?
車の運転なら見る機会がそれなりに多いから免許受けてなくてもなんとなく分かるけど、バイクは知らない
後ろに乗ってる時も手元とかあんま見えないし、みんな色々カスタムしまくってるからなんか色々付いてて何が何だかわからないし…
こんなの乗り回してる中学生ヤバすぎだろ
しばらくマイキーくんからレクチャーを受け、快適な運転とは程遠いけどとりあえず走れるようにはなってきた
まだ不良らしいコールとかそういうのはやる余裕はないけど、なんとなくはわかってきた気がする…多分…
「運命感じたんだって」
「へ?」
「このエンジン見つけた時。」
お兄さんの話か…
「むせ込んじまいそうな灰色の空の下でさ、天井ぶっ壊れた廃墟に大量のスクラップ。
その中にコイツらが埋もれてたって。」
「…」
「俺を呼んでたって、兄貴が言ってた。」
「へぇ」
「いつかその場所に行ってみてえな!」
「行きましょうよ!
伊織さんたちも一緒に!」
「いいね!
…そういやちょっとは上手くなってきたな。」
「なんとなくわかってきました!」
マイキーくんとそんな話をしていると、行ったこともないのに脳裏にフィリピンのある廃墟が浮かんでくる
そんな話を聞いたら行かない訳にはいかない
絶対いつかみんなで行きたい
そんなことを思いながらはじめてのドライブを楽しんだ