第15章 Merry X'mas
それから数日後、伊織さんの了承を取って、今ナオトを呼び出していた
急に姉の彼氏から呼び出されるって…よく考えたら謎だよな…
ナオトの疑問が浮かんだ顔を見ながら少し申し訳ない気持ちになる
「大事な用事ってなんですか?」
「急に悪いな。でもどうしても言っときたくて。」
「?」
「ヒナを…姉ちゃんをよろしくな!」
「…え?」
俺がガバリと頭を下げながらそういうと、ナオトは少しの驚きと共に戸惑いの声を上げる
それでも俺は言いたいことを容赦なく口にしていく
「おかしいこと言ってるのはわかってる!でも!!」
「……でも?」
「…ヒナを頼む!!」
そう言って右手を差し出すと、おずおずとナオトも右手を出して俺の手を取った
指先から小さく静電気のような刺激が体に走っていくのが分かる
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──
───
最後に伊織さんと一緒にマイキーくんたちに会いに行った
きっとこの時代で会うことはもうないから、と
伊織さんは少し寂しそうに笑いながら俺に色々なことを話してくれた
俺が八戒を救うために動いてる裏で、同時に稀咲を嵌める策を考えていたこと
場地くんの言う通りちゃんと証拠は持っていたこと
あの時あの場を知っていたのは場地くんがスパイをしていたからだということ
『まぁ…まだまだ心配なところは残ってるけど、何より次は私が万次郎の側にいるから。
あとは過去の私に任せるわ。』
今回のタイムリープの本質はアメリカに行かないでマイキーくんの側にいることだったと話す伊織さん
確かに、伊織さんが居てくれるなら稀咲がこれから何をしようと大丈夫だと、そう思う
『タケミっちもお疲れ様だね。』
「伊織さんも!本当に色々ありがとうございました!」
『…もう着くね。』
「そうですね!」
待ち合わせの工場に着くとみんなはもう揃っていて、残りは俺たちだけだった