第15章 Merry X'mas
「千冬、絶対離すなよ?」
「了解っす!」
「え!?本当なんすか!!?」
「いーからいーから!」
千冬と適当に駄弁っていたら急にマイキーくんがやってきた
言われるがまま千冬に目隠しされてどこかへ連行される
え?本当にどこいくの?俺
視界がないのは単純に怖いけど、マイキーくんの声がいつもの何倍も弾んでいるから悪いことはないんだろうと思う
けど…急にどうしたんだろ…
「お、きたきた」
『こっちこっち!』
「ドラケンくんと伊織さんの声?」
「おー!!すげ!」
「え!?千冬何!!?」
「絶対ェ言うなよ!千冬!!」
「ウス!」
ドラケンくんたちの声が聞こえたと思えば、耳元で千冬が感嘆の声を上げた
そしてその場で一度止まると、マイキーくんから目を開けないことを条件に千冬の手が外された
「いいか?ゼロで開けろよ?」
「はい…」
「「『さん!』」」
「「『にー!』」」
「「『いち!!』」」
「「『ゼロ!!!』」」
「じゃーん!」
ちゃんと言いつけ通りゼロの合図で目を開けると、そこには一台のバイクがあった
マイキーくんと色違いのツナギのドラケンくんがその後ろに立っていて、その隣で伊織さんが笑顔で俺の顔を見つめていた
「CB250T、通称バブ!」
「それってマイキーくんの…」
「うん。俺のバブと双子なんだ。」
「双子?」
そんなにバイクについて詳しくないけど、バイクにも双子とかいう概念があるのだろうか?
思わずそう聞き返すと、伊織さんがクスリと笑って口を開いた
『万次郎の言う双子って、ルーツが同じってこと。
…このバイクのエンジンと万次郎のバイクのエンジン、2つとも真兄が見つけてきたの。』
「昔フィリピンの廃墟の中で悲しそうに転がってたって言ってた。」
マイキーくんはそう言いながら優しい手つきでバイクに触れる
じゃあこのバイクの心臓はフィリピン生まれなのか…