第15章 Merry X'mas
「はぁ!疲れたぁ!
どお?ケンチン!」
「んー、もうちょいもうちょい…」
『そのあとは…あ、次で最後じゃない?』
「まじ?どれどれ?」
『ここ…手前のボルト締めて…』
「あーそこか…
っし、マイキー、ここ終わったから次そっちやるぞー」
「うん!」
集会の翌日、私と万次郎とけんちゃんは2台のバイクを並べて小さな倉庫前で作業をする
2人はツナギと軍手姿で片方のバイクを弄り、私はバイクや機械の本を片手にそれを横で見ていた
1台は既に完成形でさらにカスタム済み、もう1台はあと一歩で完成形のものだ
「っし!多分これでいいと思うんだけどなぁ…
伊織、どう思う?」
『うーん…私もそう思うけど…』
バイクに関しては私たちの中でけんちゃんが1番詳しい
私はバイクには乗らないから2台を見比べるのと手元の本とで学んでるけど、何せ片方のバイクは万次郎のもので、そのカスタムは真兄のお手製だ
本業が本気で改造してるバイクは複雑すぎて中々頭を使う
「まぁ大元は大丈夫だろ!
とりあえずエンジンかけてみよーぜ!!」
『そうね』
「いくぞ…」
3人でドキドキしながら鍵を回す
カチャ
ドルンッ!!ドッドッドッド…
「!かかった!!」
「っしゃー!!」
『やった!』
「いやー長かった!!」
「やっとここまできたな〜!」
『本当!』
3人でハイタッチしながらそう話す
元々エンジンしかなかった時のことを考えると随分頑張った
この時代じゃ中高生がバイク改造したり、自分で部品集めてボロボロのバイク生き返らせたりってのは普通だったけど現代じゃ考えられないな…
「俺タケミっち呼んでくる!!」
『了解!待ってる!』
「おー!」
万次郎が嬉しそうに走っていく背中を見つめながらけんちゃんと2人で笑顔を向け合う
…どんな反応するかな、タケミっち