第15章 Merry X'mas
「そっかぁ、姉ちゃん」
「っ!?」
「…そりゃ惚れるよなぁ
クリスマスめっちゃカッコよかったもんな。」
「…」
そんなに見ていたか…?私…
まさか八戒に気づかれるとは思わなかった
…そういえば兄貴が出て行った時のこと、まだ八戒には話してなかったな…
「…大寿がさ、一昨日家出てくとき言ってたんだ」
「ん?」
─
──
───
「…俺は八戒を強く育てたかった。
弱いアイツにイラついてた。」
「…」
「花垣武道は何者だ?
俺に変えられなかった八戒をアイツは変えた。
もうこの家に俺は必要ねえ。」
「大寿…」
「…お前は良い友を持ったな。
高宮…アイツはイイ女だ。」
「え、」
「改心するつもりはねえ。
だが暴力が全てじゃないことは認める。
…お別れだ。柚葉。せいせいすんだろ!」
「兄貴…」
───
──
─
「…兄貴がそんなことを?」
「うん。
…アイツは結局、お前と兄貴2人を変えた。
私はそんな花垣武道が…」
…ダメだな、この先は言っちゃダメだ
口に出してしまったら最期、引き返せなくなる
「え?」
「ん?」
「ちょ、ちょっっっと、待ってよ姉ちゃん!?
ええっ!?タカちゃんにホの字じゃねぇの!?」
「三ツ谷?別に。
兄弟にしか見えない。」
何言ってんだ?八戒のやつ
「えー!?じゃあ姉ちゃんタケミっちに恋してんの!!?」
「バカ!違ぇよ!そういうのじゃねえ!!
ヒナちゃんいるし!!」
「え?」
「…一方的な想いは罪じゃねぇだろ?」
報われることはきっとないけど、それでも、想うくらいは許してくれよ
「?どうした?お前ら」
「なんでもない!」
この想いは絶対、外には出さない
私の胸の中でだけ生きていく
まだ後ろで目も口も開けっぱなしの八戒を置いて、私はみんなの後を追いかけた