第15章 Merry X'mas
『柚葉…』
「伊織…」
八戒の背中を見送ると、伊織は俯いたままの柚葉の両手を取る
そしてゆっくりと手を引いてぎゅっと抱きしめた
『…ごめんね。ずっと黙ってて…』
「…」
『でも…最後に頼ってくれて嬉しかった。
ありがとう。』
伊織がそう言いながら柚葉の背中をぽんぽんと撫でる
柚葉は伊織の胸に顔を埋めながら伊織の服を握ると、ふるふると肩を震わせた
「ゎ、私も…!今までいっぱいいっぱい迷惑かけてごめん…!
八つ当たりも何回もしたし…!八戒のためだってわかってるのに勝手に被害妄想して無視して…!!」
『…うん、』
「ずっと言っててくれたのに…!こんなになるまで何もできなくて…っ!」
『うん』
まるで子供のようにぐしぐしと泣きじゃくる柚葉
その様子はまるで親子のようで、柚葉はこうやって吐き出す場所をずっと求め続けていたんだと今なら思える
『今まで辛いこといっぱいだったけど、柚葉はちゃんとお姉ちゃんだったよ。
八戒くんのこと守り抜いて、本当に頑張ったね。』
「…でも…みんなに迷惑かけたし…
伊織みたいにできなかった…」
『迷惑なんかじゃない。
たかちゃんもタケミっちも言わなかった?
それが仲間だって。』
「それは…」
『私たちはそういうチームなの。
まぁ族だけど…仲間のことは何があっても見捨てないし、みんな仲間のためなら命くらい張るわ。』
その通りだ
東卍を作ったあの日から、俺たちの目指すチームはそんなチームだった
『それに、誰かを頼ることは時に他人を助けることになるの。
だから沢山周りの人を頼って。』
「え、」
『私も今日万次郎に頼ったでしょう?
今日だけじゃない。私は困ったときはいつでも万次郎やたかちゃんに頼りっぱなしよ?
ね?たかちゃん。』
「あー…まぁたまに、な。」
『ほら』
頻度はあまり高くないが、確かに伊織はちょこちょこ俺たちに頼み事をする
そういえばそのお陰で俺も周りに頼りやすくなったような気がする
…そういうことも常に考えていたのだろうか?