第15章 Merry X'mas
「『メリークリスマス』」
「は…?」
「無敵のマイキー…だと?」
「伊織さん…?どうしてここに…」
一瞬意識を飛ばしていた
柚葉の口から飛び出た名前で目を覚ますと、教会の入り口にはマイキーくんと伊織さんが立っている
…夢でも見てんのか…?
「こんな日に何やってんだよお前ら。」
『本当に。』
そう言って2人は俺たちに向けて笑うと、正面の3人に視線を向ける
「黒龍…?」
『…』
「マイキーすまねえ。
俺のせいでこうなった。」
「タカちゃん!?」
「…」
「自分で作った和平協定、自分で破っちゃ世話ねえよな…
見ての通り、黒龍とモメちまった。」
そうだ…
あくまで東卍と黒龍は和平協定の最中だ
それなのにこの状態…明らかに俺たちがそれを破って喧嘩をふっかけてる
ゴクリ、と、思わず喉を鳴らす
どうなる…?
「…伊織」
『なに?』
「俺たちは三ツ谷を探しに来たんだよな?」
『ええ、そうね。』
「?」
いまいち2人の会話の中身が見えなくてみんな首を傾げる
伊織さんはその様子を見てクスリと笑うと、マイキーくんが少し上を向きながら答えた
「伊織が気づいたんだ…お前の音に。」
「うん?」
「そしたら兄貴がこっちだって、俺たちを連れ来てくれた。」
「マイキー?お前何言って…」
『…』
目に光がないまま、マイキーくんは大寿達に視線を移す
なんとも言えない不気味な瞳で
「和平?
その辺は全部伊織に任せてる。だから俺はそんなもんどうだっていい。
とにかく…コイツらがお前達の敵だな?」
「テメェが無敵のマイキーか…
高宮も久しぶりだなァ?クリスマスに2人でデートかよ。」
「違えよ」
「あ?」
「みんなで走ってたんだ。
…どうして邪魔する…?
ただみんなで走りたかっただけなのに…三ツ谷もいなくなっちまったらみんな悲しむだろ…!?」
「…マイキー……オマエ…」
─今マイキーは弱ってる
─アイツはもう不良なんかじゃねえ
─マイキーは変わり果てた
─マイキーは…巨悪だ…!
頭に稀咲や一虎くんの言葉が蘇る
嫌な予感がする
ダメだ…マイキーくん…そんな状態で戦ったら…