第15章 Merry X'mas
ゴッ…!!!
ドン…!
「っ!!!」
「ぁ…」
「……え?」
マイキー…くん…?
大寿の拳が彼の顔に当たり、そのまま地に叩きつけられた
ゴーン
ゴーン
教会の鐘が鳴り響く
その音にやっとのことでその場の全員が我に帰ると、言葉にならない声を口々に発しながら彼の名前を呼び続ける
「ハッハッハッハ!!!
聖夜の鐘まで俺の勝利を祝福してる!!
無敵のマイキー破れたり!!!」
「そんな…一発で…」
「大寿!テメェエエェッ!!!」
これまでにないほどキレた様子の三ツ谷くんが大寿に向かっていく
大寿は嬉しそうな表情のまま向き直ると挑発的に笑う
「殺す!!!」
『待って』
「っ!?」
「伊織さん…!?」
『…』
三ツ谷くんと大寿の間に割って入り、片手を上げて三ツ谷くんを制する
三ツ谷くんは伊織さんのすぐ後ろでピタリと止まるが、興奮しきった様子でその背中に声を荒げる
「退け!!伊織!!
アイツはマイキーを…!」
『たかちゃん、落ち着いて。』
「なんだ?高宮…俺は女でも容赦しねぇぞ?
それが例えテメェでもな…!!」
「伊織さん!ダメだ!!」
『…万次郎』
「あ?」
「っ、マイキー…」
「…聖夜は終わった」
そう小さく呟くと、マイキーくんはゆらりと音もなく立ち上がった
でも…あの拳をモロにくらってる
しかも今のマイキーくんはいつものマイキーくんじゃない
「もうやめとけ。佐野万次郎。
テメェとボスじゃレベルが違う。
オマエはボスの覇道に転がってる小石に過ぎねえ。」
「…今日1番の力でぶん殴ったんだけどなぁ…
流石に一発じゃ沈まねえか」
「マイキー…」
「無敵のマイキーもこんなモンか!?
残念だ」
このままじゃ…マイキーくんが負ける…!?
『万次郎、お願いがあるの。』
まるで大寿なんて見えていないかのように、周りの声なんて聞こえていないかのように、
真っ直ぐ彼の瞳を見つめながら、伊織さんはそう話し出した