第15章 Merry X'mas
「…そうだな、タケミっち!
同感だ。」
「ハハ、こりゃ死ぬなぁ」
「そうっすね!」
元々八戒を説得するだけのつもりが、まさか大寿との決戦、さらに精鋭100人もいるとなっちゃ最早勝ち目はねえ
元々そんな戦い方をしにきた訳じゃなかった
でも…それでも、今は引けねえ時だ
引いちゃいけねえ時だから、これからの未来がわかっていても怖くねえ
やってやる
やるならとことんだ
「お前ら…何笑ってんだよ?
冗談じゃねぇんだぞ!?
本当に死ぬかも知れねえんだぞ!!?」
柚葉は僅かに声を震わせながらそう言う
嗚呼、でも…柚葉だけは守らねえとな…
もう十分傷ついて頑張ってきた
柚葉だけは、生きて返さねぇと
そんなことを考えていると、三ツ谷くんが口を開いた
「…ゴメンな」
「え?」
「その期待が人を苦しめる事もある。
その通りだった。俺の期待が八戒を苦しめた。
お前も伊織もそれをわかってたのに…俺はそれを台無しにしちまった。
…兄貴失格だな…」
「三ツ谷…」
「お前はガキん時から今までずっと、八戒を守ってきたんだな…
…柚葉」
「…」
「マジ尊敬する。」
「…っ、」
弟を何年も大きな脅威から身一つで守り続ける
兄弟のいない俺には想像もできない事だ
たった一言
一言だけど、兄である三ツ谷くんのその一言に含まれる大きな意味を姉である柚葉は感じとったんだろう
今まで柚葉が流してきた涙とは違った涙がその瞳に溜まっていく
「今度は俺らの番だ!」
柚葉の頭に優しく手を乗せると、三ツ谷くんは不敵に笑った