第15章 Merry X'mas
「ハァ、ハァ…何発殴らせれば気が済むんだ…」
「…」
「…負け、ねぇぞ…」
「なんで…なんでそんなに頑張んだよ…?
弱ぇくせに!!!」
八戒が震える声でそう俺の背中に投げかける
なんでかって…?そんなもん、一つしかないに決まってんだろ…?
「もういいよ!
いい加減にしてくれよ!!」
「そうだ…もういいタケミっち
お前はよく頑張ったよ。
…俺らの負けだ…」
うるせえよ…
…こんな兄貴がいるから、黒龍があるから、八戒は立ち上がれない
それなら…
「大寿…お前を倒して、黒龍をもらう!!」
ゴッ
「タケミっち!!?」
「まだまだぁ!!」
「もうやめろ!!
お前はっなんも変えられねぇんだよ!!!」
「あ"ああああ!!!」
…その通りだ
最初は何もなかった
心を許せる友達も、愛する人も
ただ、ひとりぼっちだった
「違ぇよ。八戒。
…変えられねぇのは、お前だ。」
「っ!」
手がかりすらない中でも先を見据えてた伊織さんとは、まずスタートが違った
俺が本気で未来を変えたいとそう思ったのはアッ君が目の前で死んでからだ
何も持ってない癖にひとりで全部背負った気になって、不安でどうしようもなかった
でも…
─君も私に力を貸して
─お前すげーよ!あの2人仲直りさせるなんて!
少しずつ
─ケンチンを頼む!!
─タケミッチに一億円!
─泣き虫のヒーロー
少しずつ…みんなが認めてくれた
─ありがとな、タケミっち
─君は本当に強いね
─東卍を頼むぞ…相棒
だから…
ボゴッ!!
「あ"っ…」
「っ、もうやめろ!タケミチ!!
マジで死んじまうぞ!!?」
「あ"あああああ!!!」
例え今踏ん張って未来が変わらなかったとしても…それでも…万が一があるのなら…!!!
ドゴッ!
ドゴッ!!
「っ、んなもん…痛くも痒くも…あ?」
ドサッ
「タケミチ…?」
「ハハ…ハ、ハァ、ハァ…命かける価値は…あるだろ?」
「お前…」
「八戒…
頑張る事は辛くねぇよ。
一番辛いのは…孤独なことだ。」
その証拠に…今1番俺はスッキリしてる
「なんでも話せよ、八戒。
オレら、友達だろ?」
八戒はその場に崩れ落ち、やっと本音を溢した