第15章 Merry X'mas
「タケミっち…オレを…助けてくれ」
「任せろ、八戒」
ずっと…ずっとその言葉を待ってた
「ボス…?」
「嘘だろ?アイツ…ボスに膝をつかせやがった!!」
「え…?」
「東卍の隊長クラス、舐めんなよ」
「すげぇ、相棒」
ここからだ…
「八戒、お前が守りたかったもの…
柚葉は、俺が守る!!」
「……違うんだ」
「え?」
「違うんだ、タケミっち…
オレの顔見ろよ…アザひとつないだろ?」
「?」
「柚葉はあんなにボロボロなのに…」
「ん?」
「?」
俺も三ツ谷くんたちも話が見えなくてただただ八戒を見つめる
一度堰が外れた八戒の涙は止めどなく溢れ続け、悲しみと後悔、そして大きな悔しさを滲ませながら言葉を紡ぐ
「守りたかった…
家族を…柚葉を守りたかった…けど……大寿に逆らう度胸なんて、俺にはなかった」
「…まさか、」
「逆だ…俺はずっと守られてきたんだ
…あれ、嘘なんだ」
「は、、、」
「俺を…家族を、ずっと守ってきたのは柚葉だ…!
伊織さんだけはそれを知ってた…!!
その上で…俺たちを助けてくれていたのはあの人だった…!」
─八戒くんは大寿さんを殺さないわ
─殺さない、というより殺せないのよ
─それより…
それより、問題は柚葉の方ね…
「っ!」
あの言葉の続きが聞こえた気がした
伊織さんは分かっていたんだ
本当に全部…全部分かっていたんだ
それなのにどうして今まで放っておいた…?
あの人の狙いは一体なんだった…?
何より…
「八戒…じゃあお前はずっと守られてきたってことか?」
「…」
「守ってきたってのは、本当に全部嘘なのか?」
「…そうだ…
俺は柚葉のしてきたことをさも自分がしてきたかのように話した。
伊織さんと柚葉は元々知り合いだったからそれで知られたけど…あの人はそれでも俺のために黙っていてくれた。
…柚葉を守りながら…俺のクソみたいなプライドまで守ろうとしてくれた。」
「お前それって…最低じゃん」
「…」
千冬の言葉に黙り込む八戒
…いまいち頭がついてこねえ