第15章 Merry X'mas
「なんだよ!アイツら2人とも!!」
「仕方ない!天才はおるもんだ!!」
ギャーギャーとおじいちゃん達が喋る中、技を披露し終えた女の子はやはりウチの方をじっと見続けていた
「やっぱ伊織やるな」
『万次郎の見てたから…それより…「オイ佐野!高宮!ちょっと組み手しろよ!!」
「え?ヤダよ。汗かきたくねーもん」
『私も嫌。万次郎がやらないならしない。』
「じゃあなんで道場来てんだよ!」
「俺のスゴさ見せつけて目立ちたいから。」
『私は他に別にやることないし…』
「なんちゅー奴らだ…ん?」
「っ、」
「ところで、ずっといるあの子誰?」
『それ私も気になってた』
そうして6つの瞳が一気に自分に向けられる
咄嗟に壁に隠れるけど、女の子の方には随分前から気づかれていたようだし…あまり意味はないだろう
「エマ、妹」
『え?』
「ん?」
その一言で女の子の瞳がまんまるになった
「へー!お前らオフクロが違うのか〜」
『なるほど、そういうことね』
「…」
「外人みたいな名前だな。」
「だろ?」
この男の子二人…脳味噌のレベル一緒
『いつここに来たの?』
「一昨日…」
『へぇ…じゃあまだ何もわからないことだらけだね…』
この女の子は…少し大人っぽい
ウチとは違って綺麗な黒髪だし……いいな、
「じゃあ俺エドワードのエド!」
「なら俺はマイケルのマイキー!」
「ディスイズアペン!」
「アイハブアウンコ!」
「オーマイガッ!」
「オーマイガッ!!」
『…』
ケタケタと笑う2人
…まるで場違いのような自分が悲しくて、笑う気にもなれないし、ただただ胸が空っぽで寂しくて、視界がゆらゆらと揺れる
「本当はわかってるんだ…」
「ん?」
「ママの気持ち。
ママはウチの事嫌いだから。」
「…」
『…』
「だから捨てたって…わかってるんだ…
っ、でも、、、でも、言ったんだよ?」
ボロボロと涙が道場の床を濡らす
もう止められなかった
「用事が終わったら迎えに来るって…言ったんだ…」
でも、きっともう、、、ママは来ない
ウチは捨てられたんだから