第3章 Contact
「じゃーちょっと走るかー」
「あ、俺タケミっちの後ろ乗る〜
伊織ケンチンの後ろ乗せてもらって」
『はーい』
「俺は漕ぐ前提かよ」
『だってけんちゃん後ろに乗せたら私絶対漕げないじゃん
けんちゃん重いし』
「あーじゃあ俺も伊織乗っけてたら漕げねぇわ」
『は?けんちゃんそれどう言う意味?』
「おー怖ぇ怖ぇ」
そんなこんなで俺は何故か自転車の後ろに東卍のトップを乗せて河川敷を自転車で走っている。
俺の後ろで鼻歌を歌うこの人。
とても直人から聞いたような極悪組織のアタマには見えない
伊織さんや松野千冬?だっけか?
あの2人が現代で言っていたように、この人がこのままならきっと未来の東卍は存在しない
だからきっと、ドラケンくんさえ死ななければあの未来はないはずだ!
それと、ずっと気になってるのが…
「あの、どうして俺のことなんか気に入ったんですか?」
「……くっだらねー質問」
「スイマセン…」
…ちょっと怖くなくなったからって調子乗ったか?
「オレ10個上の兄貴がいてさ
もう死んじまったけどね」
「!」
『…』
「…」
「無鉄砲な人でさ
自分より全っ然強え奴にも平気で喧嘩挑んじゃうの」
「へー
かっけぇ人だったんスね!」
「タケミっち兄貴ににてる」
「へ!?
そんなカッコよくねえっスよ!!
どこをどう見たら!!」
「ハハハ
確かにタケミっちみたくダサくねーな」
「……それはヒドいっス」
この時、俺はどうして気づいてあげられなかったんだろう
2人とも、すぐ近くにいたはずなのに
マイキーくんが今でもお兄さんの姿を追っていることに
伊織さんが顔を歪めていることに
俺は前しか見えていなくて、どちらの影にも気づかなかった