第14章 Choice
『千冬くん?』
「あ、、、すみません、相棒すぐ呼びますね」
『うん、お願い。』
伊織さんの声で我に帰ると、心配そうな表情でこちらを見つめていた相棒を手招きする
携帯をスピーカーにすると、相棒が口を開いた
「伊織さん、俺です。」
『うん。聞きたいこと、沢山あるんでしょう?』
「はい…」
『いいわ。ひとつずつ解決していきましょう。』
伊織さんのその言葉に相棒と俺はアイコンタクトを取る
まずは…
「伊織さん、大寿と取引してたって…しかも個人的に…
一体何やってたんですか…?」
『ああ、そのこと…』
「マイキーくんや三ツ谷くんにも話してないって聞きました。
俺たちにも話せないことですか?」
『いえ?』
「…なにを、してたんですか?」
ゴクリと、無意識に固唾を飲む
あの日…三ツ谷くんと大寿の元を訪れた日から、ずっと気になっていた
『医療器具の調達よ。』
「…え?」
「医療器具…?」
予想外の言葉にそんな声が漏れた
俺も相棒も思わず互いに目を合わせる
『そう。
けんちゃんの時や圭くんの時にも使ってたでしょう?
あの器具たちは全て大寿さんから調達したものよ。
黒龍はあるひとつの病院と癒着していたから、そこから横流ししてもらった。』
「あ…そうだったんですね……」
『ええ。
それと、大寿さんがわざわざ無関係のこの件をたかちゃんに話したのは、きっと私達に揺さぶりを掛けたかったんだと思う。
ほんと…大寿さんの思惑に完全に嵌っちゃった。
2人の知っての通り、万次郎もたかちゃんも完全に動揺しきってる。』
「…」
「…」
まさか…そんな繋がりだったなんて……
確かにそれならマイキーくんたちには言えない
…でも、
「伊織さん…取引ってことは、伊織さんは大寿に何を差し出したんですか…?
八戒からの話聞く限りだと、大寿と取り合うには相当な対価が必要な気もするんですけど…」
「…確かに」
俺の言葉に相棒が相槌を打つ
…俺はそういう駆け引きのようなものは苦手だけど、何事にも交渉材料ってのは必要だ
三ツ谷くんが八戒の黒龍入りを条件に柚葉ちゃんの安全を確保したように…