第14章 Choice
「も、もしもし、、、変わりました。」
『急にごめんね、千冬くん。
千冬くんの携帯にもさっき掛けたんだけど繋がらなくて…』
「えっ!?」
伊織さんの言葉に慌ててポケットの中の携帯を開く
いつもは開くと現れるはずの待ち受けの写真は見えなくて、バッテリーがない旨の警告表示だけが現れたあと静かに沈黙した
「あっ!すみません、バッテリー無くなってました…」
『ふふ、まぁそんなことかな〜と思ってた。
ガラケーってスマホと違ってあんまり充電持たないものね。』
「すまほ…」
『12年後はね、みんなタッチパネルの携帯使ってるの。
電話も写真もゲームも音楽も動画も…職種にもよるけど、仕事だって全部携帯で事足りるのよ?』
「えっ!?タッチパネルって…」
『すごいでしょ?』
「まじか…」
そんなんSFの世界みたいじゃねえか…
もしかして12年後って車空飛んでたりすんのかな…
『どう?少しは緊張解けた?』
「っ!?なんで…!」
『なんでって…千冬くんすごい声裏返ってたんだもん。
いつも通りでいいんだよ?12年後の私だって私は私なんだから。』
「は、はい…」
クスクスと笑いながらそういう伊織さん
…確かに、口から心臓出そうなくらい緊張してたけど今はだいぶ落ち着いてる
元々大人びた人だったけど、今話している伊織さんはさらに雰囲気が違って、こう、、、なんというか、しっとりした話し方をするような気がする…
『…千冬くん。本当はしっかり顔見て話すべきなんだけど、今はそれが難しくて…こんな形になってごめんね。』
「いえ、俺は全然…」
『…信じがたいだろうけど、タイムリープのことは事実よ。
タケミっちはヒナを助けるために、私は万次郎が遠くにいかないようにするためにタイムリープを繰り返してきた。
でもね、私にとってそのきっかけを作ってくれたのは…紛れもなく千冬くん、貴方よ。』
「え、、、俺が?」
『正しくは未来の千冬くん、って言えばいいかな?
…圭くんが貴方に託して、千冬くんが私に繋いでくれた。
千冬くんがいなかったらけんちゃんも圭くんも今生きていないわ。』