第14章 Choice
「…そろそろ帰る?」
『そうね…少し名残惜しいけど、もう遅いし、、、』
「またいつでも連れてくるし!」
『本当?嬉しい。』
「うん!
…じゃあ行くか」
万次郎はそう言って立ち上がり、私に手を差し出す
私がその手を取ると、ぐいっと引き上げて立たせてくれる
落ちてきそうな星の下、私たちは砂を踏みしめながら波の音を背に陸へと帰る
万次郎に手を引かれながら歩いていると、彼が口を開いた
「…今度は、流れ星見に行こうな」
『流れ星!見たい!!私見たことないの。』
「俺も。」
『楽しみにしてるね。』
「ああ」
砂浜を抜け、降りてきた階段を上る
万次郎はそのすぐ近くに止めていたバブのハンドルからヘルメットを取ると、それを私の頭に被せ、自身も愛機に跨った
「出すぞ。
ちゃんと捕まってろよ。」
『うん。』
私はゆっくりと万次郎の腰に手を回してぎゅっとしがみつく
万次郎は私の手の上からそっと手を置くと、バイクにエンジンをかけてアクセルを捻った
バブーーーーー
静寂の中、彼の排気音だけが空気を揺らす
最後に胸いっぱいに潮風を取り入れると、万次郎の背中に頭を預け、ゆっくりと目を閉じた
…大丈夫、
万次郎のためなら、私はきっとなんだって出来るから