第14章 Choice
「オレは反対だ」
やっと我に帰って渋谷の夜を歩く千冬と俺
千冬の刺々しい言葉が夜風と共に肌を刺す
「稀咲と組むなんてねぇよ、タケミっち!
オレらだけでやるぞ!!」
「…そうかな?」
「は?…場地さんと伊織さんと橘日向に手を掛けた張本人だぞ!?
わかってんのか!?」
「わかってるよ!!!
じゃあどうすんだよ!?」
「っ!」
「稀咲を殺すのか!!?違うだろ!?」
敵を…稀咲を今までで1番近くに感じる
この感覚が言葉ではどうにも形容し難いけれど、掛けてきた思いが濁流のように押し寄せて処理しきれない
ただ感じるのは、何かを掴み掛けている気がする
そんな感触だけだった
「オレらがやんなきゃいけないのは稀咲を東卍から追い出す事!!
それと八戒が大寿を殺すのを止める事だろ!!?
オレだって稀咲と組むのは嫌だよ!!
でも一緒に動いたら稀咲のことが何かわかるかもしんないじゃん!!
追い出すヒント、掴めるかもしんないじゃん!!!」
「…」
「ハァ、ハァ」
根拠なんかないけれど、そんな気がしてるんだ、、、
それに何より…
「オレはもう…もう2度と、皆んなの不幸な未来見たくねぇんだよ!
その為ならオレは仇とでも組む!!!」
ヒナ、ドラケンくん、アッくん、千冬、場地くん
皆んなの最期の表情や言葉、思い、、、全てが鮮明に思い出される
頭に焼きついて離れない
2度とあんな思いはしたくない
2度とあんな目には遭わせたくない
「頼む千冬!
…一緒に、組んでくれ…!!!」
「…」
「…」
街行く人が不審な目を俺らに向ける中、俺たちは時が止まったかのようにその場でじっと、互いの目を見つめていた