第14章 Choice
「知らない」
「あ?」
ぽつりとそう呟くと、半間が威圧感たっぷりで上から睨みつけてくる
それに負けじと視線を返しながら必死に最低限の言葉を紡ぐ
「本当だ。
大寿と伊織さんの関係を知ってる人間は恐らく誰もいない。
マイキーくんだって三ツ谷くんだって何も知らなかった。
伊織さんも大寿も…多分本気で誰にも話してない…」
「…チッ」
半間が舌打ちをして後頭部をポリポリと掻く
稀咲は考え込むようにして顎に手を当て、そうか、と小さくつぶやいた
しばらく誰も口を開かずに気まずい空気が流れる
その流れを断ち切ったのは、稀咲だった
「思うことがあるんだ。
…マイキーはもう、ダメかもしれねぇ」
「えっ!?」
「強がってるが…ハロウィンのことを引き摺ってる。
完全に高宮に依存しきっている。噂では片時も側から離さないとも聞いた。
場地の方もだ。場地のことも高宮の側に置き、遠回しに自分の近くに置こうとしてる。」
「っ!場地さん達はテメェが!!!「千冬!」
「…とにかく、このままだと東卍は終わる!
高宮のことも気にはなるが…マイキーが常に側に置いているのならとりあえず今はどうしようもない。
マイキーだけでも今は俺らで盛り立てるんだ!!」
「だとしても俺らがテメェと組む理由はねぇんだよ!!
なぁ!?タケミっち!!」
「…」
「東卍に秘密にして動くんだ。
参番隊も陸番隊も使えねぇ。
つまり、俺らにはお前らが必要だ。
…タケミっち、俺は時間の無駄は嫌いなんだ。
明日までに答えを出せ!!」
バタン
巡り巡る思考の中で、扉が閉まる音がやけに澄んで聞こえた