第14章 Choice
稀咲と半間の後を着いてやってきたのはとあるカラオケボックス
そしてその一室では黒龍の内通者という男が1人いて、稀咲が懐から出した封筒の中身を確認すると、かなり緊張した様子で口を開いた
「…絶対にバレないようにしてくれよ。
バレたら俺の命ねぇからさ…」
「大丈夫だ。ここにいるメンバーは絶対に口外しねぇ。
…それより、わかったか?」
「…ああ、総長の動きだろ?」
「?大寿の動き?」
千冬がそう口に出し、俺も同じ疑問を頭に浮かべる
稀咲とこの内通者の口ぶりから察するに…稀咲は事前に聞く内容をコイツに話していた
そしてこうやって密会にまでこじつけて聞きたかった内容がそれか…?
もっとこう…ほかにあるだろ
弱点とか弱みとか…黒龍の内部状況とか…
稀咲は内通者から俺たちに一度視線を戻すと、説明するように言葉を並べる
「黒龍を潰すならまずは大寿を知りてえ。」
「?」
「1日の流れだ。何時にどこで何をしているか。
それで大体どんなやつかわかる。
相手を知れば攻略も楽になるだろ?」
「なるほど…」
思わずそう口に出てしまう
…そんな考え方があるなんて…
「俺は昔総長の付き人だったから大抵のことはわかる。
まず総長は…
ガチャ
「え?」
「なんだこの部屋…ラット臭ぇなぁ!?」
「ココくん…」
「!?」
アイツは…黒龍幹部の…!!!
大寿の後ろに控えるように立っていた1人─ココと呼ばれた黒髪の吊り目の男は、部下らしき2人の男を引き連れながらズカズカと部屋に入ってくる
「チッ」
「早速バレてんのかよ…」
「あーあ…」
「…」
「…この前のラット、可哀想だったなぁ…
耐えられなくて自殺したっけ?」
「っ!」
「…」
内通者と幹部の視線がぶつかり合い、内通者の肩がガタガタと震え始める
「ちっ、違うんスよココ君…俺はただ─「拷問けってーい」
「オイ、このカス連れてけ」
「「ウッス!」」
「っ!!!!」
ゾワリと鳥肌が立つ
内通者は瞳に涙を溜め、なんとか弁明しようとバタバタと抗う
それを無理やり押さえ込むように引きずられ、あっという間にその男は俺たちの視界から消えた