第14章 Choice
「伊織?どうした?」
『い、いや!!なんもない!!』
「ふーん、ならいいケド」
慌てて繕って返事をする
バクバクと波打つ心臓をなんとか押さえ込む
…流石に聞こえてないよね…
一度砂浜に視線を落とし、大きく深呼吸して前を向く
星、か、、、
『…もし、溶けるなら、、、砂じゃなくて星になりたいな…』
「ん?」
『いや、さっき話してたじゃない?
自分の形わかんなくなって溶けそうだって。』
「あー、言ってたね。」
『それで、バラバラになって飛ばされるなら星がいいな〜って。』
そしたらみんなと一緒だし、キラキラしてる
そしてきっと今の私たちみたいに誰かが見つけてくれる
「伊織は星にはなれねーよ。」
『え?』
「伊織は月だ!
静かだけど綺麗で強い。見てるとみんな安心する月!!」
『なんか照れるね…』
「嫌?」
『ううん。嬉しい。
じゃあ万次郎は太陽ね。
明るくて絶対にみんなに必要で、そして、、、私を照らしてくれる太陽。』
「ん?」
『月ってね、太陽がないと輝かないの。
月光って太陽の光なんだよ。』
「へー、知らなかった」
『…だから、、、絶対いなくならないでね、』
「もちろん、」
そう言って、今度は私から万次郎の手に力を入れて握った
万次郎はそれに応えるように握り返してくれて、少し赤くなった鼻先のまま笑みを浮かべた