第14章 Choice
約束の時間の5分前
ファミレスの一角にはマイキーくんと伊織さんだけを除いた幹部勢全員が揃っていた
「全員、揃ったな。
ちょっと早いが…始めるぞ。タケミっち、話せ。」
「はい」
ドラケンくんに話を振られ、俺はゆっくりと口を開く
八戒が大寿を本気で殺そうとしていること
柴家にはDVがあって、姉を守るためにそうするしかなかったこと
そのために八戒は東卍を抜けたこと
そして八戒が自分の口で「大寿を殺す」と、そう明言したことを話した
「だから…!八戒を止めるために!黒龍を潰すべきだと俺は思ってます!!」
汗が滲む手をぎゅっと握り締め、最後にそう締め括る
「あ?それで黒龍とモメる?」
「はい!」
正面に座るドラケンくんの目を真っ直ぐに見つめて言う
…この場では彼が肝なんだ…!!
「…」
「…」
ドラケンくんもまた、俺から視線を外すことなくじっと見つめ返される
ゴクリと思わず唾を飲み込み、心臓がバクバクと音を立てる
と、隣から声が掛かった
「ふざっけんなよテメェ
"殺す"なんてオレは百万回言ってるワ!!」
「そんなんで人殺してたら地球終わんぞバカヤロー」
「殺すぞタケミっち!
…あ!ほら!また言った!!
とにかく、八戒止めるのに黒龍とモメるなんか却下だ却下!」
「…」
「だーりっ♡」
「…」
…やっぱり…俺の主張だけじゃ無理あったか…
八戒が言ったってだけで、証拠があるわけでもない
そして八戒と直接話していないこの人たちが、あの八戒の本気の覚悟を知る由なんてない
「どう思うよ?ドラケン!」
「!」
肆番隊隊長がドラケンくんに話を振る
背筋が無意識に伸びるのが自分でもわかる
「んー、却下!」
「っ、」
「タケミっち、お前らにもなんか思うとこあんのかも知んねーけど、お前らは三ツ谷の約束した和平もぶっ壊すつもりか?
三ツ谷の顔にドロを塗る行為だぞ?」
「!!」
「…話は終わりだ。解散。」
ドラケンくんのその声を最後に、各隊長達は席を立った
その場に残ったのは俺と千冬だけで、2人で溜息をついた