第14章 Choice
翌日、学校が終わってぼんやりと快晴の空を眺める
私の胸の内とは裏腹に澄んだ空、言いようのない苛々が募る
『はぁ…』
一向に返ってくることのないメール
…やっぱり、嫌われちゃったよね、、、
手の中のガラケーの小さな画面に映る柚葉へと送ったメールに空から視線を移す
昨日たかちゃんと万次郎に家まで送ってもらってすぐに送信したけれど、返信はかえって来ない
いつもは1時間もせずに返ってきていたのに
現代のように既読とかいう技術もないから読んでいるかすら怪しい
追い詰めないように、追い詰めないようにと黙っていた結果がこのザマ
…わかっていた
首を絞めるような結果になることくらい
でも…こんなに拗れるとは思わなかった
「伊織?
溜息ばっか吐いてたら幸せ逃げちゃうよ?」
『うーん…ちょっと色々立て込んでてさ、、』
「…そっか。」
万次郎はそう言いながら私の隣に腰掛ける
私はパタンと携帯を閉じると、また小さく息を吐く
「伊織、今日の夜さ、海行かね?」
『海?』
「うん。
天気いいし、星綺麗だよ。」
『え?どうしたの?急に』
「別に〜」
いつもの如く、突然そんなことを言い始める万次郎
その横顔から言葉の意図を探ることは出来ないけど、表情の裏に隠れた恐れに気がついてしまった以上、私の返事は決まっている
『いいよ。でも、それなら一旦帰らないと。
流石にこの服装だったら風邪ひいちゃう。』
「だな。」
バイクに乗っていくなら尚更だ
万次郎がこんなにもべったり私から離れなかったことは今まで一度もない
だから彼が少しでも安心できるように一緒にいてあげないと、、
万次郎のこと、黒龍のこと、
どちらも譲れない
ぷるぷるぷる ぷるぷるぷる
「?誰?」
『けんちゃんね
…もしもし?』
【伊織!今マイキーと一緒か?】
『うん。一緒にいるわよ。』
【なら丁度よかった!
タケミっちが幹部召集してえって言ってんだけどよ、今日の夜駅前のファミレスで集まっからって伝えといてくんね?】
『今日の夜…?』
【あ?なんかあんのか?】
『えっと…』
チラリと万次郎の方を窺うと、すでに私の手から携帯は取られていて、万次郎は受話器に向けて口を開く