第3章 Contact
「ああ?」
『…万次郎、、、』
私の腕を掴もうとしていた男の腕は万次郎に掴まれ、万次郎よりも背の高いその男は彼の顔を覗き込むように顔を寄せる。
「なに言ってるか聞こえねぇよ!チビすぎて!!」
「ギャハハ!言えてるなぁ!!」
ドゴッ!!!
「……は?」
…瞬きしただけのたった一瞬で、その男は床に伏せてしまってピクリとも動かない。
「て、テメェ、、、なにしやがった!!」
「は?うるせぇよ
お前らこそ、その汚ねぇ手で一体誰の女に触れようとしてんだ?あぁ!?」
「あーあーあー、、、
お前ら、マイキーの逆鱗に触れたんだ。
ただの怪我で済むと思うなよー」
「んだとクソ野郎共!!
いくぞ!お前ら!!」
「「「「おおお!!!」」」
リーダー格の男の声かけを皮切りに、一斉に男達が走る。
万次郎とけんちゃんが一歩前に出て関節を鳴らしながら言った。
「伊織危ねえからちょっと下がってろ」
『うん』
「…伊織のこととやかく言いやがって…容赦しねぇ」
「了解だ。
伊織、一応気をつけとけよ」
『はーい』
そう返事すると、万次郎はキレ顔のまま、けんちゃんは好戦的な笑みを浮かべて駆けて行った。
…こうやって、些細なことでも万次郎は仲間を馬鹿にされたら本気で怒ってくれる。
貴方のそんな優しいところがカッコよくて、大好きだった。
いつでも仲間のことを1番に考えられる貴方だから、私たちは着いて行ってたんだよ。
みんなの全てを背負い、重みなんて感じていないように笑う。
でも、重たくない訳なんて、なかったよね。
今まで全てを一人で背負ってきたからこそ、ひとつ手から零れ落ちると、貴方はすぐに崩れてしまう。
私は、そんなに脆い貴方を、置いて行ってしまったんだね。