第14章 Choice
「俺さ、なんとか伊織さんと話して一旦未来に帰ろうと思うんだ」
「え?なんで?
八戒は黒龍入っちまったし、なんも達成出来てなくね?」
千冬と2人、高架下の公園でそう話す
ぴちゃんという水音が不規則に響き、辺りは街灯ひとつの灯にぼんやりと照らされるだけで暗い
「八戒は大寿の暴力から柚葉ちゃんを守るために大寿を殺した」
「ああ、推測だけどな」
「だったら三ツ谷くんが柚葉ちゃんを解放した今、八戒が大寿を殺す理由はない。
それに、伊織さんが留学を蹴ったことで未来は確実に変わってるはずだ。」
「確かに…
伊織さんがいるのといないのとで歴史が変わらない訳がないもんな」
「だろ?
だから一旦帰って…」
「でも、伊織さんは大寿と元々何か関係を持っていたんだろ?
つまり少なくとも柴家の問題は全て把握してて、いつかはこんな風に拗れるってのはわかっていたはずだ。
それでも敢えて今まで放置し続けていた。」
「うん…なんでかは分からないけど」
「それに加えて…今はいつ何があってもおかしくない、すげえデリケートな時期だ。
お前らが未来に行っている間に何かあったら…壱番隊は俺と場地さんでどうにかするにしても、過去の伊織さんがこの訳の分からない状況を捌き切れるのかはわからない。
伊織さんと話さないことには何も言えねーけど…俺が思うにリスクの方が高いんじゃねーの?」
千冬の言うこともわかる
…改めて考えるとわからないことが多すぎる
だからこそ未来に帰ろうと思ったんだけど…そうだよな、
伊織さんと話すことが第一だよな、
正直言うと、今はあの人が状況を引っ掻き回してるとこあるし…伊織さんと話さないことには始まらない、か、
「タケミっち!!」
「ん?」
「ハァッ、ハァッ、、やっと見つけた!!」
「八戒…?」