第14章 Choice
「…友達、だと思ってたよ。今まではね。」
「今まではって…」
「結局あの子もアタシを利用してただけなんでしょう?
東卍として黒龍に探りを入れるために。
…本当、そんな素振りカケラも見せないから、、、完全に騙されてた。」
「違う、柚葉、アイツは…「もういいよ。三ツ谷。」
「…ありがとう。
アンタには感謝してる。
でもね、もう何も信じられないし、八戒への期待ももう辞めてあげて。
その期待が人を苦しめることもあるんだよ。」
それだけ言うと、柚葉は俺に背を向けて家へと入っていった
伊織は東卍として大寿に取り入っていた訳じゃない
アイツは人を利用するなんてこと、するやつじゃない
その証拠に俺たちだって何も聞いてない
そう言いたかったが、柚葉はもう俺たちのことも信用しきれていなかった
とてもじゃないが、大寿と伊織が何をしていたかなんて、聞けなかった
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ウォン─!
「…」
「…」
インパルスの後ろにマイキーの乗せ、来る時と同じ道を走る
…柚葉のあの言い方と大寿の話…伊織は柴家三兄弟とそれぞれ違う顔を持って接していたように思う
大寿とは対等に取り合う何かの取り引き相手
柚葉とは友人
八戒とは東卍の幹部
アイツは3つの顔を使い分けていた
八戒との関係は問題ない
大寿との関係も100歩譲って納得しよう
…だが、、、柚葉と友人ってのは…
…伊織なら、わかっていたはずだ
柚葉と友人となるならば、いつかは東卍の幹部という自分の立場が2人の関係を割る原因になることくらい
それをわかった上でどうして柚葉に近づいたのか…
それに…
─その期待が人を苦しめることもあるんだよ
柚葉のあの言葉…
「…何か隠してやがるな、柚葉のやつ」
「ん?」
「考えてみれば、黒龍との和平交渉、簡単すぎたし」
そうだ
大寿がこちらの要求を素直に飲んだのも変だ
…分からないことが多すぎる
色々な糸が複雑に絡み合い、解こうにもその結び目をそれぞれが隠しているせいで手もつけられない
「?マイキー?」
返事をしないマイキーに声をかける
…排気音で聞こえてないのか?
「ちょっと止めろ。三ツ谷」
「ん?」